花結び/曙橋

ワインバー

曙橋駅からほど近いワインバー「花結び」。店内はカウンターが6席ほどに2名掛けのテーブル席が2つとコンパクト。カジュアルながら洗練されたテーブルセッティングに加え、日中であれば大きなガラス窓から差し込む陽光が非常に気持ち良く、大変居心地のいい空間です。

女性店主である渡邉玲子氏はかなりのキャリアをお持ちの方で、渋谷シノワや銀座の日本料理店にてソムリエールとして勤めていたとのことです。2022年ゴ・エ・ミヨベストソムリエ賞を受賞された「乃木坂しん」の飛田ソムリエともご同僚だそうな。

当店は基本的にワンオペであるものの、オーナーが懇意にしているという恵比寿「和の食いがらし」、荻窪「SYMPA」などから用意していもらっているのもあってかこの手のお店にしてはフードメニューはかなり充実しています。

ドリンクはワインのほか日本酒も多数あるほか、14:00〜18:00の時間であればひとり5,000円強で飲み放題プランも利用可能。この日はかなりお酒を飲むメンバーだったので、ひとまずフリーフローでお願いしました。

乾杯は北海道小樽のOSA WINERYのスパークリング。小樽発祥のブドウ品種「旅路(タビジ)」を用いたソレで和柑橘を思わせる香りとフレッシュな果実味が特徴的。昼下がりのシャンパーニュももちろん大好きですが、こうした趣向を凝らしたセレクションはもっとスキ。最高のスターター。

それでいて、「飲み放題」であるのでこちらも気が向くまで飲んでいいとのことだったので、遠慮がない我々は、全員お代わりさせていただきました。

突き出しはオニオンスープ。そこらのビストロで出てきても遜色ない味わい。肌寒い季節だったのもあり胃が温まる。

まずは、オリーブ。フレッシュで凝縮感ある個体で泡と一緒に頬張ればこの上ない幸せです。これがまだ14時台というのがなおのこと。

グラスが空になりそうになるとお次の1杯を適当に用意してくださいます。お次はオーストリアのシャルドネ。マルコヴィッチというこのエリアを代表する生産者の1人らしく、トロピカルフルーツやシナモンを連想させるアロマですが、口に含むとフレッシュフルーティー。

砂肝のコンフィ。こちらは「SYMPA」謹製だったかな?クセなど全くなくクリアでしっとりとした歯触りで美味。

「日本酒も飲めますか?」との質問に二つ返事。そう、当店は日本酒まで自由自在。

石川 御祖酒造の純米酒「遊穂」。世界で100億回使い回されたであろう料理に寄り添う安定感ある食中酒。新酒ならではフレッシュ感もいい。

豚肉のテリーヌ。耳や舌をはじめとしたさまざまな部位が盛り込まれており食感の違いが楽しい。

オーストリアのカンタプール地方で作られたゲミシュターサッツ。ゲミシュターサッツとはいわゆる混植混醸のことで、ウィーンの伝統的なワインの一つ。「Nord und Sud(ノルト・ウント・ズュート)」というワイナリー名は直訳すると北と南を意味するそう。

こちらはロゼ。乾杯で飲んだモノと同様OSA WINERYが手がけるもの。ツヴァイゲルトレーベを100%使用。キュヴェ名でもある「MATENI」は地元の方言「まてに」から名付けており、真心込めて丁寧にという意だそうです。

バラやアプリコットジャム、アッサムなどのニュアンスを感じ、思いのほか上品。この後お出しいただいたシャルキュトリーと相性抜群。2024年で最も幸せな15時であったことを記憶しています。

シャルキュトリー。この日は3名で訪問したのですが、シェアしやすいようにボリュームをうまいこと調整しながら提供してくれます。当たり前ですがこういう心遣いは嬉しい。


ここで再度日本酒登場。店主は生粋のお酒好きなのでしょう、日本酒を投入してくるタイミングが完璧であり、心の中で握手を交わしました。

まだまだ続きます。イタリアピエモンテの白。シャルドネやソーヴィニヨンブラン、ヴィオニエをブレンドした珍しいタイプ。

赤ワイン1発目はオーストラリアのグルナッシュ。グルナッシュヌーヴォーというのがあるなんて初知りです。ブラインドであればピノと答えてしまいそうなくらいエレガントな味わいでした。これがめちゃんこ美味い。シャルキュトリーとの相性も抜群や。

こちらはボルドーの熟成。干しイチジクやなめし革、酸やタンニンはだいぶ丸みをおびこれぞボルドーといった1杯です。

福島県のにいだしぜんしゅ。こちらは御燗で。この後登場するお料理との温度帯を揃えにいったのでしょうか。フリーフローだというのに温度管理まで抜かりなし。

じゃがいものドフィノワーズ。こちらは至って普通の味わいです。あ、多分私がドフィノワに強い思い入れがないからかもしれません。

フリーフロー最後のワインはイタリアヴェネトの赤。凝縮した果実感が口いっぱいに広がり力強さを感じます。アフターに抜ける樽の香りも好みでした。

〆にはパスタ。先の赤ワインとのピッタリ。パスタまでいただけてしまうなんて大満足。

2時間の飲み放題ワインと日本酒合わせた計11種類も頂戴してしまいました。これが5,000円で楽しめるなんて信じがたい費用対効果。「ワインの飲み放題」って今まであまりいい印象がなく敬遠してきたのですが、当店のソレは別格。加えて、私はカジュアルにワインを飲んでいるとたまに日本酒を飲みたいなんて気分になるのですが、都内にはワインも日本酒もどちらもちゃんとしたクオリティで飲めるお店が少ない。先日いった「ドゥ・フイユ」のようにコンセプト負けしたお店ばかりで落ち込むことが多かったのですが、当店はそんなわがままも満たしてくれる。

 

大変居心地もよく盛り上がってしまったので、ここからは延長戦。アラカルトにて挑みます。

フランス シャブリ南方に位置するヴェズレー村の白。ブドウはシャルドネを用いたもの。繊細かつエキス感のあるシトラスにヘーゼルナッツのようなアロマ。

ドイツ ファルツの白。ややフラワリーな印象で清涼感ある果実味。スルスルいけいちゃいそう。

よし。せっかくなのでボトルで。もう完全に店主に心許した我々はおまかせで1本見繕っていただきました。シャトーべレール・ラグラーヴ。左岸のカベルネ主体で、外観には少しレンガ色が混ざっていますが、果実はまだイキイキとしています。

真薯揚げだったかな?などをツマミに追加注文。

フィニッシュは、オーストラリアの赤。ブドウはシャカレッロで別名スキアカレロやマンモーロと呼ばれたりするそうな。甘酸っぱい品のいいイチゴのようなそれでいてアルコール感も十分にありのみごたえがあります。

いやー盛り上がりすぎましたねぇ。開店直後に入店して4時間強もお邪魔してしまいました。ワインならびに日本酒のセレクションが素晴らしいですね。日本ワインをはじめ、世界各国の産地のワインを奔放に楽しめる。しかもどれもがハイクオリティ。

加えて14時OPENと使い勝手が良く、料理も和食から洋食まで幅広いラインナップで文句なし。この日は片っ端から料理を食べてしこたま飲んだのでお会計はひとり2万円強となりましたが、通常の飲食であればひとり1万円以内に落ち着くことでしょう。

ランチ終わりの2次会やディナー前のアペロ、もちろんワインバーとしての利用とどんなシチュエーションで訪れても満足できる素晴らしいお店です。「花結び」の水引のように何度でも繰り返し利用したくなるお店です。おすすめ!

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