テチュ クラシック エ ナチュール/白金高輪

フレンチ

白金高輪駅から歩くこと5分弱、芝新宿王子線の通り沿い焼肉屋「和牛KIM」が入っているビルの2階です。当店の入り口へとたどり着くためにはなかなか急な階段を登る必要があるため、大好きなじぃじばぁばを連れた家族ご飯で訪れるのはややハードかもしれません。


店内はなんだかあたたかみのある木目調のテーブル類をベースにシンプルながら清潔感を感じます。ハイチェアにはなるものの我々がリクエストして案内してもらったカウンターの席は調理のさまを眺めながらお食事できるので臨場感抜群。

小村健次オーナーシェフは、島根県のご出身。都内のフランス料理店にて修行したのち、「オーバカナル紀尾井町」や「ラルテミス」などのシェフを経て2017年に「ソルト白金」を独立開業。2021年に仏語で”頑固な”を意味する「テチュ(tetue)」へとリニューアル。

また、ソムリエ資格もお持ちのようでワインにも詳しくペアリングまでお一人でこなしてしまいます。

当日のアイドルタイムに架電し予約をいれ、名刺代わりの「Menu Tetue」でお願いしました。

物価高騰は避けられません。グラスのシャンパーニュは1杯2,000円とややしますが、丁寧な取り扱いなどを拝見するに妥当な値付けであるといえるでしょう。

グラスのワインは白赤3種類ほどで値付けも良心的。店名にナチュールとあり、クセの強い自然派ワインでも出てくるのかと身構えていたのですが、あくまでクリーンな綺麗な味わいのワインを取り揃えているという所感。しかもフランス産のワインのみで勝負してくるあたりにシェフの矜持を感じました。

口取りは甘々娘のムース。並外れた糖度をもつとうもろこしのひとつで、夏の訪れを感じます。オコってませんアマアマです。

前菜一品目はサーモンの瞬間燻製。半生加減がなんとも絶妙。ソースヴィネグレットのビビットな酸味や付け合わせのネギなども抜かりなく旨い。添えられたサワークリームやキャビアも必要十分で、なんというかこの時点で大好きです。

パンは蕎麦粉と全粒粉だったかな?シンプルながら香り高くソースを楽しむにはちょうどよい。おかわりしたかった。

ドイツ産ホワイトアスパラガスのポシェ ソースオランデーズ。これはフランス料理好きであれば飛び跳ねてしまいそう見た目ですねー。アスパラのお湯でさっきまで泳いでたんかくらいジューシーなアスパラガス。ぶっとい個体が2本近くも。

オランデーズとは、バターに卵黄、レモン果汁などで仕上げるクラシカルなソースであり酸味をほのかに感じる濃厚なマヨネーズに近い味覚でしょうか。王道中の王道。


追加でグラスワインを。アルザスのリースリングをお願いしたはずだったのですが、テーブルに置かれたワインボトルには”Muscat”の表記。シェフに確認すると、前のボトルが残量的に足りなくなりそうだったこともあり念の為開けたワインが同生産者の別品種だったとのこと。

結果として目の前にあるグラスには注文通りの”Riesling”が入っているのでオールオッケーですが、ソムリエといえどみな人間。間違えたりすることもあるので、特にフルボトルでワインをオーダーする際には確認を怠らないようにしましょう。

魚料理はオマール海老と帆立貝のパイ包。これは文句なしに素晴らしい。魚介類の旨みやパイの香ばしさで鼻腔が大喜び。オマールから取ったアメリケーヌソースも言うまでも美味く本日1番のお皿でした。

こちらに合わせたのはワインはブルゴーニュの南マコンのシャルドネ。もう言わずもがなの組み合わせですね。

メインはコック・オ・ヴァン。いわゆる鶏の赤ワイン煮込みを指しますが、これはシェフなりのアレンジを。

高価なブレス産の若鶏をモモ肉、ムネ肉といった具合に部位ごとに切り分け、それぞれ違う調理を施します。それらを再集結させ円形のパテのように仕立ててから赤ワインソースで仕上げた実にレストランらしい一皿。

もちろんこちらにはグラスでピノを追加。どこか既視感のあるエチケットだなーなんて思い帰宅後調べてみると、ネゴシアン Famille Picard社の3代目がメゾンとは切り離した形で運営するドメーヌ物だそう。

こちらは有難いことにご相伴に預かりました。フランス語で細かいなどの意を持つ”Fin”、エチケットに記載されているピノファンとは、いくつもあるピノノワールの亜種を分類した際、果実が小さいグループのものをそう呼びます。ちなみに、グロ(Gros)が大、モワイヤン(Moyen)が中です。奥深い。

デザートは、バニラアイスをリュバーブやバラのスープと一緒にいただきます。

紅茶と自家製のキャラメルで〆。

あぁーこれぞフランス料理。とにかくソースが素晴らしい。1万円ほどのコース料理にグラスワインをひとり3杯ほど飲みお会計は1.5万円ほど。中目黒「Les deux」や白金高輪「ラシェットブランシュ」に似た食後感で、私はこの手のレストランが大好きなのかもしれません。シェフはジビエ料理も得意とのことで、またその時期にお邪魔したいと思います。あ、事前に伝えれば「シェ・イノ」のスペシャリテである「マリアカラス」もご用意頂けるそうなのでまずはそちらからかな!

オススメです!!!

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