レストランキノシタ(Restaurant kinoshita)/参宮橋

フレンチ

 

かつて、たった2時間で次の予約が全て埋まってしまうほどの超人気を誇っていたレストランキノシタ。木下和彦シェフは料理人のキャリアを30歳目前からスタートし、調理専門学校などにも通わず、ミシュランビブグルマンを獲得しています。

参宮橋、代々木、初台駅などからのアクセスが可能ですが、徒歩で訪れる際は、参宮橋駅から7,8分ほど、初台駅や代々木駅からだと少し距離があるので、デートなどの重要なシーンはタクシー利用がスマートでしょう。初乗り料金ほどで到着できます。


店内は約20席ほど。厨房を目の前にしたカウンターと、2~4名のテーブルが4つほどに加え、カウンターとテーブルエリアの中間らへん?に位置する席があります。

この日はクリスマスイブ前夜だったので、通常のMenuCにあたるおまかせコース(9,500)でお願いしました。

ワインリストはフランス産を中心として、大変充実しており、値付けも非常に良心的。中には、酒屋の値付けに少し上乗せした程度の大変お値打ちなワインも多数あり、たくさん飲めるワイン好きはぜひボトルを狙い撃ちしましょう。

グラスワインも白、赤4種類ほどあり、デカンタ(375ml)での提供もあり面白い。


乾杯のシャンパーニュはアンリオ。泡が非常にきめ細かく、白い花やブリオッシュのようなアロマ。スタンダードキュヴェながらワンランク上の風格を兼ね備えています。シャンパーニュを飲みながら、本日のお料理を想像しながら、ワインリストをにらめっこする時間が最高の至福。




前菜1品目は牡蠣と根セロリを菊芋のブルーテ(口当たりがなめらかなソース)でとりまとめたもの。

凝縮感のある牡蠣の味覚に、風味豊かな菊芋のソースがマッチ。冬を感じます。


お次は、燻製した鰆のカルパッチョ(?)。しっかり目にスモークされており、好みです。ますます食欲が刺激されます。また、柚子のソースが非常にいいアクセントでした。



お次はセイコガニとカリフラワーのムース。セイコガニの身と卵にコンソメを加え合わせた逸品です。この一皿で何杯のカニが使われているのだろうかと考えてしまいます。めちゃくちゃに美味しいですねぇ。非常に濃厚で、思わずワインが進みます。



こちらに合わせて、ブルゴーニュの銘醸地シャサーニュ・モンラッシェの白をデカンタで注文しました。柑橘類のアロマに加え、骨格を形成するミネラル、熟成による蜂蜜のようなトロリとした舌触りにトーストしたパンのような香ばしさも感じられる大変複雑味に溢れたワインでした。

こんな素晴らしいワインがグラスやデカンタでオンリストされているなんて、ワインラヴァーからしたら歓喜でしょう。

続いては、白子のパン粉焼き。下にはイカスミを用いて作られたソースがたっぷりと敷かれています。あまり見かけない組み合わせですが、ソースのほろ苦さが心地よく、これはこれでアリだなと個人的に思いました。



こちらのソースを一口いただき、急遽ボトルで赤ワインを注文。甘酸っぱいチェリーのような果実に、ほのかな鉄っぽさに加え、クローブのようなスパイスのニュアンス。口当たりは滑らかで、熟成によりタンニンも落ち着いています。メインに控えるお肉料理と合いそうです。



メインの前にパスタが登場しました。エビやサーモン、ウニなどの海の幸がたっぷり使われたカッペリーニ。これは間違いなく美味しいですね。先ほど注文していた白ワインを少し残しておいて大正解でした。


おまちかねのメイン登場。鹿ロース肉のロースト。赤ワインのソースとともにいただきます。

素晴らしい火入れです。ヘンな臭みなどはもちろん一切なく、柔らかな質感ながら、赤身肉の力強い味わいと旨味をしっかり堪能することができます。

コクのあるソースはもちろん、付け合わせまで抜かりなく美味しく、特に手前のリンゴのピュレが好みでした。

見た目以上に印象の残る一皿でした。



デザートは選択制です。私は紅あずまのプリンをチョイス。栗のクリームとバニラアイスもついてきます。

クラシカルなデセールは心が落ち着きます。秋の味覚を最後に楽しめてよかったです。

一緒に珈琲を飲んで〆。


以上、おまかせのコースに、グラスシャンパーニュ、3人でデカンタの白、ボトル赤ワインを飲んで、一人税サ込で2万円ほど。

これだけの料理とワインを食べ飲みしたと考えると大変お得ですね。

客層もフランス料理をかなり食べてきたであろうゲストや、近くに住んでいそうな年配のゲスト、落ち着いた雰囲気のカップルなど、質がいい空間です。

他方、サーヴィスはあまり期待しない方が良いかもしれません。クロークなどは特段なく、客席中央にあるハンガーポールにセルフでかけるスタイルもしくは、テーブル脇のカゴに畳んで収納しなければなりません。

シェフが料理を運んでくれるときは、説明をしてくださるのですが、他の方は、食材名を述べるだけ。

これで5%のサーヴィス料を請求されるのであれば、初めから料理や飲料に添加していてもらった方がゲストとしては、心象がいい気がします。

 

通常期であれば前菜、スープもしくはお魚、メインにデザートまでついたコースが6,600円とこちらも大変お値打ち。

個人的にはプラス3,000円で皿数並びに食材のクオリティが上がることを考えたら、断然おまかせコースの方がコスパ良く感じます。

ワイン好きのゲストをお連れするにはもってこいのお店です。前述したように、ホスピタリティ(?)はあまり感じられず、ある程度ゲスト主体でワイン並びにメニューを理解する必要が多少あるため、フランス料理に食べ慣れている、もしくは関係の深い方たちで訪れるようにしましょう。

 

 

キノシタ ランチ

キノシタはランチ営業もしており、平日に限っては3種類ほどの前菜の中から1品と、メインに魚もしくは肉料理が選べ、デザートまでついてきて、税込3,000円を下回る大変お値打ちなプリフィクスランチがあります。

平日に都合がつく方はぜひどうぞ。

土日は、皿数が増えて、4,800円ほどだそうです。

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