麻布十番駅と白金高輪駅のちょうど中間地点あたり南麻布に位置するタストゥー。2017年よりミシュランガイド東京 ビブグルマンを8年連続で獲得されています。
オーナーシェフの堀江毅シェフは2005年に渡仏し、パリ1区やフランス南西地方のレストランを経験したのちパリ5区のビストロ「レ・ピポ」でシェフを務めました。8年後帰国し、2015年に当店をオープン。入口を彩る青白赤のトリコロールカラーが目印です。
ちなみに店名のタストゥー(Tastous)とは、フランスの黒トリュフのカナッペのことを指し、加えて”Tu as tout !!”(お好きなようにを意味するフランス語)とのダブルミーニングだそう。
店内は、グレーを基調とした清潔感のあるテーブル席が主体で、バーカウンターのようなカウンターの座席もありました。全体で20席弱ほどでありこの手のレストランとすればちょうどいいサイズ感。
アラカルトとコースともにご用意があり、コースはおまかせのフルコースが7,150円〜、フルコースから魚料理を除いたプリフィックスのコースが5,720円と3種ほどございます。
今回はカジュアルなプリフィクスのコースをチョイスしました。
乾杯はグラスでシャンパーニュを。ピノノワールを主体としたコクのあるタイプ。
アミューズはリエットとタコのマリネ。泡と一緒に流しこめば初夏の暑さを忘れさせてくれます。
前菜1品目はタスマニアサーモンのタルタル。脂の乗ったサーモンはもちろん、シブレットやビーツのソースがいいアクセント。サーモン好きな私としては嬉しい1品。
2品目はフォアグラのミキュイ。
滑らかな舌触りに非常に濃厚な味わい。半生に仕立てた火入れ具合も絶妙で、見た目はシンプルながらも技術の高さを感じました。
300円の追加料金以上の価値を感じる一皿。
合わせてボルドー近郊で作られる甘口ワインを。トロリとしたハチミツのような味わいは言わずもがなフォアグラとの相性バッチシ。これぞマリアージュ。
連れは+880円にて黒トリュフのオムレツを。オムレツとソースに黒トリュフを用いているだけでなく、トッピングにも豪快にあしらった一品。素晴らしい三段活用。これぞ香福だ。
メインに私は本日の魚料理を注文。この日はヒラメのポワレ。これぞプロのポワレだと言わんばかりの見た目であり正統派。日向夏のソースが思いの外いい組み合わせでした。
こちらにはアルザスの白ワインを。シルヴァネールやシャスラ、ピノブランといったブドウが用いられたビオディナミのワインです。想像していたよりもドライな印象で、若い梨やグレープフルーツの果実感を感じるワインでした。
連れは鴨肉のロースト。こちらも王道の調理であります。一口頂きましたが、ヘーゼルナッツのソースがこれまた素晴らしく皮目の香ばしい香りといいマッチング。
デザートも同様に3種類ほどある中から選択制。
私は黒トリュフのマリトッツォを。連れはフヌイユのムース・グラッセ、パイナップルのクーリをそれぞれ頂きました。
マリトッツォとはみなさんご存知、イタリア発祥のパンに大量のクリームを挟んだ伝統的なお菓子のこと。
当店は、炭を練り込んだパンの中にこれまたトリュフ入りクリームを詰め込み外側をスライスした黒トリュフで覆うという贅沢仕様です。
コンビニなどでも見かけるようなスイーツをこのような高いクオリティに昇華したたものを頂けるのもレストランの醍醐味の一つでしょう。
以上、コース料理に追加料金などを含め、グラスワインを3杯ほど飲み、お会計は1人1万円強。
これは良いお店ですね。フルコースももちろん魅力的なのでしょうが、皿数の抑えたライトなコースも選択肢にあるのがありがたい。お年を召した方や少食な女性をお連れするのにも困らない。
お料理はクラシカルなフランス料理といった感じで安定感があります。それでいて肩の力を抜いて食事できるような空間であるので、フランス料理あまり食べ慣れていないなんて方や若い人たちの記念日の食事にも向いているでしょう。
コメント