コントワールミサゴ/西麻布

フレンチ

 

高樹町からすぐの日赤通り沿いにあるビルの2階に位置するお店です。最寄駅は広尾駅になりますが、個人的にはタクシーで訪れるのがベターでしょう。渋谷と六本木を結ぶ六本木通りを利用する場合は右折できない交差点があったりと、少し迂回しないと目的地まで辿り着けないので時間には若干ゆとりをもっておくといいかもしれませんね。ちなみに帰りは特別な事情がない限り、タクシー利用量が多くその場ですぐ捕まると思うのでご安心を。

店名にあるコントワール(Comptior)とはフランス語でカウンターを意味し、店内はカウンター席のほか、クロスが敷かれたテーブル席もありました。ドレスコードはないもののあまりにカジュアルすぎる装いは控えましょう。


オーナーである土切祥正シェフは料理人としてのキャリアを鮨屋から始め、北海道のオーベルジュなどの勤務を経て、ジビエで有名なブラッスリーマノワ(レストラン マノワ)に立ち上げから4年ほど携わったのち当店を開業。


席数に比して大変豊富なメニュー数。一皿あたりの絶対額は高く見えるものの使用している食材の質並びに立地を考えると妥当であるように感じます。また、アミューズ、前菜、メイン、デザートをアラカルトメニューからチョイスできるプリフィクスのコースなどの用意もあります。

せっかくなので、我々はメインにスペシャリテの青首真鴨をチョイスし他アラカルトで3皿取ることにしました。

ワインリストはこの立地では珍しく、ボトルが4,000円台からご用意があり大変良心的。グラスも白赤そこそこ種類がありました。悩んだ末今宵がグラスワインで気ままにいただくことにします。



まずは、グラスシャンパーニュ。シャルドネ100%でつくられているブランドブラン。爽やかで溌剌とした酸を感じます。味わい自体はいいのですが、12月という寒い季節であったため黒ブドウを用いた少しコクのあるタイプだったらよかったなとも思ってしまいました。まぁこれは私の期待が過ぎているのでしょう。


アミューズはオニグラ。今まさにオーブンから取り出したばかりのアツアツの一皿であり、冷え切った身体を温めてくれます。



パンはグジェールも含め3種類ほど。シンプルですが、料理自体の味がしっかりしているのでこれくらいのバランスがいいでしょう。




前菜は北海道産生ウニとコンソメジュレのアンサンブル。ウニも必要十分な量使われており、定番の料理ながら安定したクオリティ。



お次はパテ盛り合わせ。この日は、さまざまなジビエを用いたパテの他に、鴨のロースト、鹿肉のタタキのようなものが盛り込まれていました。コンパクトなサイズ感ながらも、方向性の異なる野生味をそれぞれの食材から感じることができ大変満足度の高い一皿です。



お料理に合わせてグラスの赤ワイン。ブルゴーニュの村名。熟したチェリーや木苺のような赤い果実に加え、ブルーベリーのような青系果実、スミレなどの香りも取れる複雑性の高いワイン。



温菜にあたるお皿はポルチーニ茸のソテー。卵黄と黒トリュフを絡めながらいただきます。

シンプルながら素晴らしい味覚。ただでさえ香り高いポルチーニ茸に黒トリュフの香りが追い打ちをかけ、口中が幸せ。長い余韻に浸れます。




こちらには白ワイン。ブルゴーニュの白ワインの生産者としてはあまりに有名なドメーヌ ルフレーブによるマコンヴェルゼ。コッテリとした旨味にも負けないしっかりとした味わい。




当店のスペシャリテ。新潟網獲り青首真鴨の三段活用。

シェフの奥様が新潟のご出身だそうで、奥様のお父様が獲ったものだそう。

ちなみにフランス語では、真鴨のことを「コルヴェール(Col-Vert)、直訳すると緑の首」と呼んだりします。



まずはお狩場焼き。

お狩場焼きとは、狩りの場所で焼いて食べることからその名がついたそうですが、当店では胸肉とササミを醤油で軽くマリネして焼き上げたものをお出しいただきます。



二段階目は、鴨のロースト。ソースはレバーなどの内臓と赤ワインを合わせすり潰したサルミソース。

クラシカルかつ現代人には敬遠されてしまいそうな見た目ですが、濃厚な旨味を感じつつも重過ぎない仕立てです。言わずもがな素晴らしい火入れで、部位ごとに異なる味わいが非常に楽しい。



こちらには、オーストラリアのシラーズを。熟した黒系果実の香りとスパイシーさが共存したワイン。真鴨にはブルゴーニュのピノノワールが最適かと思っていましたが、それに劣らずいい組み合わせ。



最終形態は鴨のガラとアゴでとった出汁のお蕎麦。

いきなりの和テイストで割烹料理屋にでも来たのかと一瞬錯覚に陥りますが、日本人として〆に蕎麦は問答無用に和みます。

このようにして真鴨の肉から血、骨まで全て余すことなく調理していただくことができるフランス料理って個人的には最もSDGs的にいいんじゃないかと思う。



以上、アラカルト4品にグラスワインを4杯ずつ飲み、お会計は税サ込で1人1.7万円ほど。これはいいですね。レストランで出されても遜色ない料理が豊富なメニューの中からアラカルトで選べ、ワインもそれらに合うクラシカルなセレクトで大変好みなスタイルのお店でした。

次回はシェフの調理を見ながら食事ができるカウンター席を予約して訪れてみようと思います。

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