フォーシーズンズ丸の内東京のメインダイニング。
改装期間を経て、2021年7月に開業して以来、すぐにミシュランの星を獲得。アジアの50ベストレストラン2023にて2位を獲得するなど、国内外からの評価が高い。
シェフのダニエル・カルバート氏はニューヨークの「Perse」、パリの「Epicure」などで修業後、香港の「Belon」のヘッドシェフを務め、来日。
ランチで訪問。エントランスから7階へ上がり、受付で名前を告げると一度ウェイティングスペースにて待機。眺望が素晴らしい。。
少ししてから、ダイニングへと通されました。
席数は40席弱と丁度いいサイズ感です。女性2人組や海外のゲストに加え、私以外にもお一人で食事されてる人など利用用途はさまざまみたいです。
白を基調としたインテリア。テーブルにクロスはなく一瞬戸惑いました、さすが外資系ホテル清潔感かつ煌びやかな店内です。
グラスシャンパーニュは税、サーヴィス料込で3,000円台中盤〜。Krugなどもグラスのラインナップにありました。さすがはホテル、金額もラインナップも痺れます。
せっかくなので、ローラン・ペリエのロゼを頂きます。
アミューズブーシュの一つ目はラディブール。ラディッシュにバターを纏わせたもの?すんごい繊細。
高級ショコラティエのショコラよりも細かい装飾。箱に詰めたら一粒800円とか言われても納得してしまいそう。
二つ目は、グジェール。中には48ヶ月のコンテが注入されてます。シンプルなのにめちゃんこ美味しい。グジェールの究極系。若輩の私ですが、おそらく死ぬまでこれを超えるグジェールと出会うことはないでしょう。
前菜は昆布出汁を用いて作ったフラン(洋風茶碗蒸し)。北海道産のアスパラガスと帆立、キャビアがあしらわれています。
ここからはソムリエに、シャンパーニュを除いて、料理と同額くらいの予算でペアリングをお願いしました。
こちらには、ロワールのソーヴィニヨン・ブラン。爽やかさも感じつつ厚みもあり、出汁の旨味をしっかり受け止めてくれます。定番の組み合わせだけど嬉しい。
お次はホワイトアスパラガスのスープ。白エビとピエモンテ産?のヘーゼルナッツが合わせられています。
ワインはアルザスのリースリングを2種お出し頂きました。熟成したリースリングの方が個人的に好みでした。
続いてトマトとズッキーニのタルト。ホールの状態を一度お見せ頂けるのですが、美術品かと思うくらい綺麗。
テーブル上で仕上げにブラーターチーズとオリーブのソースがかけられます。これまた見た目だけでなく素晴らしいクオリティの味わい。
巷で、トマトとブラータチーズの組み合わせよく見かけますが、それらとは圧倒的別次元の料理へと昇華させているのが個人的にツボ。高級食材を使うだけがレストランじゃないんだよというメッセージであるように勝手に解釈しました。
合わせたのは、フランス・コルシカ島のヴェルメンティーノ。
お魚料理はホタルイカにピぺラード(トマト、ピーマン、玉ねぎ、ニンニク、唐辛子などを炒めたもの)を詰め込んだもの。上にはバジルとアーモンドのソースで彩られています。
見た目、味わい共に素晴らしいものの、魚料理として考えると少し盛り上がりにかけるなと思いました。
これには、スペインのマカブーとフランス南西部のソーヴィニヨン・ブラン。ピペラードがよく食されるスペインのバスク地方に程近いセレクトでなんだか旅行している気分になりました。行ったことないけれども。
メインは鹿肉のロースト。黒スグリ(カシス)と赤ワインのソース。これはびっくりするほど美味しいですねぇ。王道中の王道のフランス料理。これまでの軽やかな仕立ての料理と異なり、メインであるとの主張を存分に感じる一皿。
火入れや付け合わせも文句無し。ディナーで出てきても文句なしのしっかりとしたポーションである上に、なんとソースはソースパン(ソースの入れ物)ごとテーブルの上に残しておいてくれます。フランス料理の真髄であり、最も手間がかかるソースをこれほど自由に使わせてもらえるなんて、どれだけ気前がいいんだい。エレガントであるかどうかはさておき、パンを用いて思いっきりソーセさせていただきました。
コース料理とは抑揚が大切であるなんて言ったりもしますが、正にそれ。気分がクレッシェッンド。先の料理がこのメインを際立たせるための伏線であったのかのようにも思えてしまいます。
合わせていただいたワインも最高。
コース序盤、ソムリエとのキャッチボールの中で、私がローヌのワインが個人的に好みという話を記憶してくれていたのか、コルナス。たっぷりの果実味に、カカオ豆やスパイシーさ。タンニンはしっかりとあるものの綺麗に溶け込んでいてエレガント。
ご厚意で、最上級のブルゴーニュのピノも出して頂きましたがこちらもたまらないペアリングでした。甲乙つけがたいとはまさにこのこと。
デザートは宮崎県産のマンゴー。上からたっぷりのシャンティをかけて頂きます。
これまた素晴らしい味覚ですね。シャンティの中に混ぜられたショートブレッド?のアクセントがいい。てかこのマンゴー仕入れでいくらするんだろう。それを半玉って贅沢すぎないか?
ワインは、ソーテルヌ。南国のフルーツを思わせるような上品な甘さが、マンゴーとピッタシ。これだけでもまた食べに来たい。いくらでも支払うから同ホテルのバーとかラウンジで食べれるようにしてくれないかな。
小菓子と珈琲。小菓子のクオリティもそこらへんのパティスリーをゆうに越えるクオリティ。凄いなぁ。
以上、12,000円のコースに、グラスのシャンパーニュ、ペアリング。お会計は税サ込みで一人36,000円ほど。
2時間強の時間があっという間でした。最高の食体験。
星付きホテルのメインダイニングにて、一流の料理にこれだけのワインを飲んでこの金額は満足度がかなり高い。
モダンで洗練されたお料理が続きながらも、フィナーレは王道のフランス料理。全ての料理のクオリティはもちろんのこと、前述したようにコースとしての完成度が非常に高かった。
フランス料理とはソースであるとよく言いますが、それに加えて最高の素材が掛け合わさるとここまですごいのか。洗練と迫力が同居しているような、料理の究極形を見せられたような気がします。
加えてサーヴィスが完璧。
サーヴィス料15%とありますが、納得。料理のテンポも良く、遠すぎず近すぎずの程よい距離感。
さらには、ワイングラスの台座の刻印が全てこちら側を向いて置かれていたのにびっくりしました。
高価な食器を用いているレストランはいくつもありますが、ここまでのお店は初めてかもしれません。凡事を徹底するとは正にこのこと。神は細部に宿る。
ホテルのメインダイニングとだけあって支払いの絶対額は高いものの、心からお勧めするレストラン。素晴らしい。叶うことなら何度でも訪れたい。
多様性が謳われているこのご時世、ゲストによって合う合わないレストランは分かれると思いますが、当店を嫌いになる人は99%いないでしょう。私が断言します。それくらいちょーおすすめ。食事というよりも食体験。そこらへんを旅行するよりもはるかに多くの感動を味わうことができると思います。
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