恵比寿と広尾のちょうど中間点あたり、明治通り沿いに位置するレストラン マノワ。
オーナーである中村豪志氏は、ソムリエでありながら、ハンターとしてご自身で狩猟もおこなっているそう?。東京でジビエ(狩猟によって捕獲された野生動物の肉のことを指します)を食べるとなら候補の一つに上がるであろうお店です。
店内は、カウンター4席に加えて、テーブルが3つほどのわりかしコンパクトなつくりです。
我々がオーダーしたメニューヴェレゾンのコースでは、アミューズを含む前菜4皿に加え、メインを10種類以上の中から2種類選び、組み立てるコースでした。
さらに、メインはグループで統一する必要はなく、ゲストが各々好きなものを選んでいいそうです。料理人は大変そうですが、ゲストとしては実に喜ばしいシステムです。
私は、蝦夷鮑のパイ包み焼きと鳩のローストをチョイスしました。
ドリンクはグラスのシャンパーニュが1,980円ほど。若干値は張りますが、量もたっぷりなので、悪くないディールです。
加えて、デギュスタシオン デュ ヴァンというセットがあり、3種3,300円〜と大変お手頃。酒飲みである我々は5種5,500円のものをチョイスしました。
デギュスタシオンとはもともと味見するのような意味があり、現在では、それが派生して少量多皿のような意味合いて用いられることが多い。
後述しますが、このクラスのワインが1杯あたり1,100円と考えると非常にお買い得。他方、あくまで数種類の選択肢の中からゲストが選ぶというスタイルなので、料理に合わせてどのワインを選ぶかもゲストの責任となり、ある程度の知識を要するのでご注意を。
アミューズは、蕗のとうのベニエ、スッポンをロール状にしてミモレットを削りかけたもの、あとは枝豆を用いたものだった気がします。
前菜は1品目はホワイトアスパラガスと平貝の冷製 文旦と柑橘のソルベ。全体的に爽やかでフレッシュな印象を受けた一皿。スターターにはいいですね。
こちらに合わせてチョイスしたワインはロワールのソーヴィニヨンブラン。爽やかなハーブのニュアンスがお料理に寄り添います。
お次はスペシャリテでもある黒い鯛焼き。炭を混ぜてつくった皮の下にはフォアグラとジャガイモのピューレ。こちらは通常の鯛焼きのような皮の存在感はほとんどなく、薄い生地が表面に見栄え程度に添えられていると言ったところで、体感としては、ほとんどフォアグラとじゃがいもを一緒に食べている感じです。
こちらには、バルサック地区のデザートワインを合わせました。やはりフォアグラと相性抜群ですね。
続いては蝦夷鹿のコンソメスープ。
これぞコンソメといったネットリとした舌触りに思わずテンションがあがる。中に潜んでいる銀杏や百合根もいいアクセント。
ワインはブルゴーニュのシャルドネ。シャサーニュモンラッシェをチョイス。この格のワインが選択肢に含まれているなんて、気前が良すぎます。
メイン1品目は蝦夷鹿のパイ包み焼き 鮑の肝のソースでいただきます。パイ包み焼きは私の大好きな料理の一つなのですが、これは文句なしに旨い。クリスピーなパイの食感に始まり、ムニッとした鮑のコントラストがいい。また鮑まるまる1個を独り占めできるのは何とも幸せな気分。
肝のソースも抜かりなく美味しい。ソースだけでグラス1杯をあっという間に飲み干してしまいそうです。
ワインはブルゴーニュのピノ。ラズベリーなどの赤系果実に少しウメやシソのような爽やかな酸も感じます。意外とパイ包みに合う。
残り少しなんでよかったら飲んでくださいと。スタッフの方がサービスしてくださいました。
ただし、これは注ぎすぎですね。気前の良さを通り越して、乱雑な扱いのように思えてしまいました。グラスが重くて大変飲みづらい。
なんでも多けりゃいいってもんじゃない。むしろ限定されることに人は価値を感じるのである。
メイン2皿目は、天然鳩のロースト 鳩のジュとサルミソース。サルミソースとは、食肉やレバーをソテーし、赤ワインやコニャックなどを合わせて煮詰め、それを丁寧に濾すという大変手間のかかる古典的フランス料理を起源にするもの。
鳩は、ジューシーで肉肉しいレバーを食べているような濃厚な味覚。サルミソースも加わって、パワフルな一皿です。
思わず赤ワインを欲します。フランス ローヌのシラー。たっぷりの果実に黒胡椒のようなスパイス、鉄っぽさも感じ、ジビエとの相性は言わずもがなですね。
デザートの前にチーズを追加。熟成ポートワインと共にいただきました。
デザートはイチゴのミルフィーユ。春の訪れを感じる甘酸っぱい味わいでした。
小菓子にコーヒーをいただき、たっぷり3時間の食事でした。
以上、16,500円のお食事に、グラスシャンパーニュとデキュスタシオンのワイン5杯と食後酒、チーズまで頂き、お会計は一人3万円を切りました。
おぉこれは素晴らしい費用対効果ですね。メイン料理の選択の幅が広いだけでなく、それを2皿もチョイスできるのは食いしん坊にはたまらないシステム。料理は全体を通して、クラシカルでポーションも十分にありながら、重すぎない。
また、ワインもフランス産を中心に、王道のラインナップであり、値付けも破格。ワイン好きにとってはたまらないお店ではないでしょうか。
店内や客層も落ちつていはいるが重厚すぎず、居心地がいい万人受けするレストラン。ランチも大変お得そうなので、まずはランチから行くのがおすすめです。
レストランマノワ 閉店
こんな記事を書いておきながらなんと、2023年11月28日をもってレストランマノワは閉店になってしまうそう。大変残念。また、どこかのタイミングでご縁出来たらいいな。
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