calme(カルム)/池尻大橋

ビストロ

ワイン食堂カルム。場所は池尻大橋駅から徒歩で5分ほど。高速道路のジャンクションに程近いビルに位置します。

店名のCalme(カルム)とはフランス語で「穏やか、平静な様子」などを表す言葉。また、風が止み波が穏やかになる「凪」の意味もあるそう。


表には看板がありますが、存在を知っていないと見逃してしまいそうな入り口です。階段を上がり店内へと入ると、カウンターが6席ほどにテーブルがいくつか、加えて半個室のお席がありました。その日は6名ほどでワインを楽しむグループもおり、テーブルのレイアウトは予約のゲストに合わせて変幻自在のようです。

 

お料理はもちろんアラカルトもありますが、コースが主体で6,600円〜あります。初めての訪問だったので、名刺代わりのラヴェルコース(8,800円)にてお願いしました。

飲料はワインはもちろんのことビールやノンアルコールも充実しており、そのどれもが趣向性が高いラインナップでした。ちなみにグラスの泡は1,000円、シャンパーニュは1,600円からあります。なんといっても特徴的なのは古酒をグラスで多く取り揃えており、都内ではかなりな品揃えだと思います。

この日は飲む気満々で来店したので、お料理に合わせてグラスでどんどんだして頂くことにしました。

乾杯はリシャールシュルランというRM1の生産者。フレッシュな果実味を感じながらも厚みやコクのあるシャンパーニュでした。

連れは、北海道余市に位置するドメーヌイチのスパークリング。一口いただきましたが、フルーティなべっこう飴のような印象ながら後味はドライ。レストランでいただくのももちろんいいですが、家でスパークリングワインを飲む際に少し変化球として用いたり、ちょっとしたギフトとかに渡したらすごくセンスが良い。

お料理に移ります。お突き出しは、温かなポタージュとマドレーヌ。派手さはないものの地味深い味わい。寒い日だったので胃が温まりエンジンがかかる。

前菜一皿目は、軽く火を入れたエビやホタテの魚介にコンソメで寄せたもの。下には根セロリのムースが忍んでいます。これがぶっ飛ぶくらいに美味しい。口の中がアンサンブル。
甘みを増した魚介にコンソメがグッと旨味を後押し、根セロリの滋味深さが余韻を長くしております。

こちらに合わせていただいたのが、オーストリアのグリューナー・ヴェルトリーナー。リンゴのような肉厚な果実味とミネラルがお料理との相性が最高でした。

また、このワインに用いられたグラスは、真上から見ると楕円形をしており、ワインをラッパ飲みした時の味わいと近くなることを意図して作られたものらしいのです。一般的なグラスとの比較はできていないのでその効果は分からないもの、序盤からこのプレゼンテーションには驚かされました。
世の中には知らないことがたくさんあって面白いなぁ、後日同様のグラスを自宅用に購入しました。「樹(イツキ)グラス」で検索!

前菜2皿目は白子のムニエルに菊芋のピュレ、椎茸やレンコンなども用いられていました。先のお料理に続いて何を食べているのかという主題がが明確であり、他の食材との調和が素晴らしい。


こちらには、ボルドーの白。さっそく古酒が登場です。キャラメルやヘーゼルナッツ、少し紹興酒を思わせるようなニュアンスにハーブも僅かに感じました。


続いてお魚料理。確かヒラメ(?)。ヴェルモットを用いたソースとともに頂きます。



お魚には白と赤をそれぞれ合わせて頂きました。

白はなんとポルトガル。なんでかブラインドでご提供いただいていたのですが、第一印象はピュリニーモンラッシェ。熟したリンゴや白い花、チョーキーなミネラルにタルのニュアンスも感じるポテンシャルの高いワインでした。ポルトガルの白ワインといえば、ヴィーニョヴェルデのような若飲みのイメージだったのですがとても勉強になります。

赤はポマールの1986。立て続けに古酒を頂けるのはワインラヴァーとして大変嬉しい。それでいて、当店のソムリエはワインの表情を読み解いているような、ワインのハンドリング技術がものすごく高い。

メインのお肉は鹿。栗のピューレと赤ワインのソースです。素晴らしい火入れですね。メインたらしめる十分なポーションであり、テンションがクレッシェンド。思いのほかエレガントな肉質でスイスイ食べ進めてしまいました。

お肉にも贅沢にダブルペアリング。バローロの1967。もう一方はシャトーラグランジュ1976。70年代のワインの造りにはどことなくエレガントさを感じ癒されるような思いになります。
というのはソムリエの受け売りで、年代ごとの当時の国家の景気や状況などがワイン造りにも当たり前に反映されているのですよと教えてもらいました。「時代を飲む」とはまさにこのことである。

デザートはモンブラン。中にはメレンゲとアクセントに細かくあしらわれたリンゴが隠れておりいいアクセント。

 

この後コーヒーを頂き〆。3時間強も滞在してしまいました。

お会計は一人あたり2万円弱。我々は贅沢にワインをいただいたのであれですが、通常の飲食量であれば1人1万円強に落ち着きそう。

金額だけ見ると少し高く感じるかもしれませんが、クロスが敷かれたようなレストランで同等のものを頂いたら3万円はゆうに超えるクオリティ。ワインの凄さに圧倒されてしまいがちですが、お料理が大変美味しいです。そこらのフランス料理店と遜色ない、いや下手したらそれ以上のクオリティのお皿がこの金額で頂けてしまうのは嬉しい限り。
そう、当店はワインバーではなくレストランなのである。

余談ですが、予約の段階のメールのご返信が丁寧かつ素敵で、訪問前から非常に楽しみでした。「予約対応はお店の顔」とは良く言ったものですが、改めてその重要性を実感しました。


大好きなお店。。私個人としてはスピリチュアルな世界をあまり信じていませんが、料理やワインはもちろんのこと、食器や音楽、全てに愛を感じ「魂が宿る」を体感したレストランでした。
こういうお店に通いたい。グランメゾンは晴れやかな気持ちにしてくれるけど、当店のように食事を通して回復できるレストランこそ、現代の我々に必要な存在であると思う。

ワインラヴァーはもちろんのこと、若いカップルにこそぜひ訪れてみてほしい!オススメ!!!

 

 

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