麻布十番駅からすぐ、外苑東通り?大通り沿いにあるビル4階に位置します。店名のQUAND L’APPÉTIT VA TOUT VAはフランス語で“食欲があれば全て上手く行く”という意味を表します。
オーナーソムリエである長雄一氏は、三田 コートドールや南青山 レ クレアシヨンド ナリサワ(現ナリサワ)にてシェフソムリエとしてご活躍された輝かしいキャリアの持ち主。
店内に入るとコの字型の大きなカウンター席が目に飛び込みます。もちろんテーブル席、他にも個室やテラスのお席などもありいろんな用途に利用できそうです。全体で40席近くあるそうで見た目以上に大箱でした。
メニューはアラカルトとコースがあり、コースは皿数によって金額の異なります。我々は前菜2品に魚料理と肉料理のついた真ん中のカラペティコースでお願いしました。肉料理に限り、アラカルトメニューからチョイスするシステムです。
グラスシャンパーニュは1,700円ほど。グラス一杯に注いでくださいます。柑橘やイーストなどのアロマの中に蜜っぽさも感じます。コクを伴った旨味のある酸が心地よい。
アミューズはグジェール。シンプル。
前菜1品目はズワイガニとアボカドのムース コンソメジュレとウニ。これはもう見た目から美味しいですね。カニの甘みが口中いっぱいに広がる。周りに削られてた柚子の香りがいいアクセント。
デギュスタシオンのような感じで、ワインはお料理に合わせてグラスでいただきました。
先の料理に合わせて、ヴィオニエ。白い花や金木犀、白桃のような華やかなアロマ。お料理とも相性抜群です。
2品目はカリフラワーのポタージュ。丁寧に裏漉しされているからか舌触りがとてもクリーミー。
こちらにはドイツのリースリングを。フレッシュでジューシーな柑橘類と綺麗な酸、やや甘やかなニュアンスも感じる味わいです。季節感すら楽しめる春らしいペアリングで、当店のワイン選びは群を抜いています。料理を主軸としつつ、多くのゲストに分かりやすいような個性を感じるワインを取り揃え、料理との相性も素晴らしい。それでいて肩の力を抜いて飲めるようなそんなラインナップ。
お魚は真鯛のポワレ。焦がしバターソースです。
あらゆるフランス料理店でお見かけする一皿ですが、火入れやソースの仕上がりに安定感を感じます。フランス料理を食べ慣れたゲストもそうでないゲストも広く受け入れるスタイルの当店が、このようなお皿を出すことは大変意義深いといえるでしょう。
ワインは別の種類のものをいただきて、連れとシャルドネ飲み比べ。カリフォルニアのシャルドネは、カリフォルニアらしいたっぷりの果実に甘いバニラの香りが溶け込んで力強さを感じます。一方のムルソーは、想像通り王道中の王道の味わいで、ふくよかさの中にミネラルや酸を感じ洗練されています。
肉料理は、乳飲み仔牛のロースト モリーユ茸のソース
これまた食欲のそそられる見た目。仔牛らしいしっとりとした肉質にミルキーな味わいがたまりません。仔牛の旨味と甘みに呼応するようなモリーユのソースも素晴らしい仕上がり。
ワインはブルゴーニュの1級畑のもの。柔らかなベリーにシルキーなタンニン。これぞフランス料理というようなマリアージュでした。
追加料金を支払い、デザート前にフロマージュを。当店は、手書きイラスト付きのメニュー表の中からチーズを選ぶことができます。口頭での説明を受けながらライブで選ぶのもいいけど、ゆっくりメニューを眺めながら選べるのはいいですね。訪問時は今ほどチーズに関する知識も持ち合わせていなかったのでこの運用は非常に助かった。
北海道でつくられた白カビ、水でウォッシュしたチーズ、ロースト香が特徴のビール ポーターを練り込んだとされるハードの3種類。
食後酒を追加。私はマクヴァン・デゥ・ジュラ。フランス ジュラで造られる甘口のワイン。ハードタイプのチーズと相性がいい。
デザートには3種のアイスクリームを。お料理が美味しいお店でこそごまかしのきかないアイスクリームが食べたくなる。バニラが優勝でした。
以上、8,800円のスタンダードなコースに、グラスワインを4杯、チーズに食後酒まで頂いたのにもかかわらず1人あたり1.5万強。素晴らしい費用対効果。
お料理は王道でどのお皿も洗練された印象を受けました。加えてワインのラインナップに関してはさすがの一言。サービスもちょうどいい距離感で心地よく、素晴らしいお店でした。
レストランクオリティの料理、ワイン、サーヴィスを肩の力を抜いて体感できるお店。フレンチに行ってみたいけど、いきなりレストランは何て考えている方にピッタリ。もちろん食べ慣れたゲストも楽し目ます。おすすめ。
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