レフェルヴェソンス(L’Effervescence)/表参道

 

表参道から徒歩10分強とありますが、私は渋谷からタクシーを使用しました。六本木通りから高樹町の交差点を曲がったすぐのところにあります。サイタブリアバーのお隣、近くにお寺?があるのでそれが目印。


生江史伸エグゼクティブシェフは慶応義塾大学法学部で政治学を学んだ後、料理への道と進まれます。広尾「アクアパッツァ」でレストランの基礎を学んだ後、2003年に洞爺湖へ。フランスに本店のある「ミシェル・ブラス トーヤ ジャポン」にて働き始めます。本店での研修を終え、帰国後スーシェフへと就任。2008年にはイギリス「ザ・ファットダック」に入店しスーシェフを務められ、その後独立。2010年に当店をオープン。

 

オープン後すぐにミシュラン1つ星を獲得し、2021年よりミシュラン3つ星を獲得。それだけでなく、1954年にフランスで発足され5Cの基準による厳格な審査をクリアしたホテルとレストランのみ加盟できるルレ・エ・シャトーにもその名を連ねています。

店名のレフェルヴェソンス(L’Effervescence)には、フランス語で泡や泡立ちを意味しており、公式HPには、ダイニング全体が渾然一体となる「一座建立」を目指すと記されています。

まずはウェィティングスペースに案内されます。箱根とかにありそうなモダンな高級旅館をおもわせるしつらえで一気にムードが高まります。おそらくレセプションの方にも確認されますが、ダイニングは長丁場になるので化粧室に必ず立ち寄っておくようにしましょう。


ほどなくしてメインダイニングへと案内されます。白を基調とおり清潔感を感じると同時に、照明はかなり絞られておりどことなく没入感もあります。客層はフランス料理が好きであろうというゲストから、カップル、若い女性2人組といったテーブルもあり、多種多様。


今回は、訳あって予約サイトではなく、関係者経由でご予約していただきました。我々は初来店であり、その旨は伝えていたものの、行き違いがあったのか2回目以降のゲストに向けたメニューがセッテイングされており、着席後、スタッフがそれに気づき慌てて差し替えられるという始末。

初回のゲストと複数回利用のゲストとのメニューが異なること自体は理解できるのですが、良くも悪くもドラマの2話目から見させられた気分でちょい萎え。
ミシュラン三つ星といえどこういう凡ミスするお店たまにありますよねー。

 

コースが始まる前にまずは、ウェルカムドリンク。スロージンを用いたカクテルです。
余談ですが、スロージンとは、ストロベリーを浸漬したリキュールのことで、ジュニパーベリーを用いた蒸留酒ジンとは全くの別物です。



この日はコースに合わせて、予算などは特に伝えずペアリングをお願いしました。




乾杯は、ピノノワールを主体としたシャンパーニュです。洋梨やすりおろしたリンゴのような果実に、アーモンドやトーストのような香りも混ざり合い、素晴らしい味わいです。



アミューズ?として色々な干し野菜と豆腐を用いたサワークリームで頂きます。めっちゃかわ。



前菜1品目は、蛤と伊勢海老を用いた飯蒸しのようなものと、蛍烏賊のフリット。フランス料理というよりも日本料理。おもてなしの精神をひしひしと感じ、なんだか懐石料理のようです。




お次は、当店のシグニチャーディッシュであるアルチザン野菜のサラダ。

うわーすげ。圧巻の盛り付けですね。アート作品。何人がこの料理に関わっているのか想像しただけで感慨深い。絶対真似できない。

合わせたワインは、ロワールの白。上品な果実の中に蜜っぽさがあり、加えて鉱物的なニュアンス。この生産者は熟成によりさらにポテンシャルを発揮するという認識でしたが、今飲んでも充分。畢竟、美味しいものはいつ飲んでも美味しいのである。


続いては当店のスペシャリテでもある蕪。

みずみずしく、ものすごく甘い。それでいて蕪の土っぽい風味も感じられる。低温で長時間火入れして、仕上げにローストしてるんかな。1年中同様の調理で仕立てることで四季を感じてほしいとの想いが込められた一皿。

ただ、蕪は所詮、カブ。フランス料理を食べに来ていると思うとと迫力ならびに満足感にかけるお皿です。

 

合わせるのは日本酒。お酒自体は好きな味わいですが、相性も理解できます。ただここはワインで勝負してよー。特異な料理を出してくるわりには、日本酒で置きにくるのはズルくありませんか。

ちなみに、フランス料理店のペアリングで日本酒が出てくるのが私はあまり好きではありません。


お魚はマナガツオ。自家製キャビアをたっぷり含んだブールブランソースで頂きます。

火入れはさすがの一言。付け合わせのモリーユなども含めて、ここにきてようやくフランス料理食べてるなって感じがして気がします。これまで素材を食べさせるような料理が続いたからかソースの塩味がやや強いように感じました。



ワインはシャブリの特級。単体で飲んでも十分に美味しい一本ですが、合わさるとお料理の余韻がグッと増して、これぞマリアージュ。クラシカルなペアリングでめっちゃ好き。



メインは鴨のロースト。うわー。これはめちゃくちゃエロい。テンション上がる。京都の七谷鴨(ナナタニカモ)というブランド鴨を使用しているそう。臭みなど皆無であり、しなやかな肉質。脂は甘く非常に濃い味わい。赤ワインソースも申し分のない。




ワインはブルゴーニュの赤。Domaine Robert Chevillon Nuits-Saint-Georges Les Cailles 2006。

瓶詰めされてから15年以上も経っているなんて信じられないぐらいエネルギッシュ。初心者から上級者まで誰もが認めるめちゃくちゃ贅沢な組み合わせ。


続けて、鴨のラビオリ。コンソメと共にいただきます。これがとんでもなく美味しかった。その上、おかわりもさせてくれる。我々は遠慮なく頂きました。このスープでラーメンを作れば、瞬く間に人気店になりそう。



こちらに合わせるワインはロゼ。カリフォルニアだったけかな?珍しい品種。連れはめちゃ好みらしく、おかわりしてました。


当店はコースにチーズも含まれています。このシステムは実にフランス的。チーズが別料金なの日本のレストランぐらいですからね。北海道を始めとした国産のチーズに拘っていました。優しい味わいのものが多かった気がします。

チーズに合わせて、シェリー酒のフィノとジュラのヴァン・ジョーヌを。

 

 

 

デザートの主題はルバーブ。コンポートにしてるのかな。甘酸っぱさが心地よく、下に敷かれたピスタチオとの組み合わせもグッド。


 

最後は、ミニャルディーズと抹茶で〆。


以上コース料理30,000弱(サ別?)にペアリングでワインをお願いし、加えてグラスワインを好き勝手に追加してお会計は1人あたり税サ込6万強。

いやー、飲み過ぎてしまいましたね。今回はペアリングに関しても、予算などは伝えずに見繕ってもらったので、通常の飲食量であればもう3割近く安く落ち着くかと思います。

期待値が高かっただけにやや厳し目のコメントとなりましたが、サーヴィス陣のホスピタリティが非常に高く総合しても私は好きです。他方、クラシカルなフランス料理を期待していくと少し肩透かしを食らうかもしれません。

箱根 強羅あたりの高級旅館に訪れたかのような食後感。「関係値の深いゲストと思い出に残る時間を過ごしたい」そんなリクエストを叶えてくれるレストラン。

東京から1時間強の時間をかけて、高級旅館で2人だけの時間を過ごすのもいいですが、思いのほか食事が大したことなかったり、移動で結局疲れてしまったなんて経験ありませんか?私のように飲食に重きを置いているような方にはこういう選択肢もありかもしれません。

いずれにしよ、フランス料理を食べにいくところというよりかは、食体験をしにいくレストラン。

 

 

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