BOTTEGA(ボッテガ)/広尾

イタリアン

 

広尾駅から歩いて5分ほど、商店街の入り口を抜けた少し先の路地裏のような場所に店を構えます。BOTTEGAとはイタリア語で「工房」を意味し、料理のライブ感を感じてもらえるお店であるという願いが込められているそう。

笹川尚平シェフは中華料理から料理人としてのキャリアをはじめ、ピエモンテを中心にイタリアで修行したのち、「アロマフレスカ」に勤務。麻布十番「カーサヴィニタリア」にて立ち上げからシェフとして腕を振るい、2017年に独立開業。オープンして1年経たずミシュラン1つ星を獲得。

店内は8席のカウンターが主力で、4名テーブルが一つほどと思いのほかコンパクト。


料理はアラカルトのほかシェフのおまかせコース(15,000円)もありました。迷った挙句アラカルトで挑むことに。

ボトルワインは最低金額9,000円〜であり、品質を考えれば妥当な価格であるものの絶対額が高めな印象。他方グラスワインは1,500円〜2500円の価格でかなり充実している印象だったので、今宵はソムリエにお願いして料理に合わせてバンバンお出しいただくことにしました。


乾杯はフランチャコルタ。ドサージュ(捕糖)を行わない造りでシャルドネ本来の豊かなアロマをビシビシ感じる。ミレジマート(ある特定年に収穫されたブドウを100%使用して造られた)ものであり、そこらへんのシャンパーニュを蹴散らす美味しさ。この時点で当店のソムリエのセンスの良さを確信。



完熟トマト、ブッラータチーズ、柑橘のサラダ。めっちゃ美味。最近よく目にするブッラータチーズを用いた料理とは比にならない完成度の高いお皿。素材自体のポテンシャルの高さに衝撃を受けるとともに、その食材の目利きをしているシェフの腕前の高さに脱帽です。



燻したメカジキと香草のカルパッチョ仕立て。大判のメカジキの上にさまざまなハーブのサラダとトマトのジュで作ったであろうシートが覆いかぶさっています。非常に美しい見た目で仕事の細かさが伺えます。

十二分に美味しいのですが、先のお皿と味覚の方向性が似てしまいやや印象が薄れてしまいました。これは我々のチョイスに問題がありますね。

料理に合わせて出していただいたワインはそれぞれ別の種類のものを頂きました。連れとたまに交換こ。

北イタリアフリウリのトラミネールアロマティコ、女性受け抜群いわゆるゲヴェルツトラミネール。なるほど、白身魚にやや甘みやボリュームのあるアロマティック白を合わせることで、華やかな印象へと昇華。この合わせ方結構好き。


もう一方はカンパーニャのフィアーノ。フルーティーな果実感に南らしい豊かなボリューム感。



パスタ一皿目は牡蠣とからすみのタリオリーニ。パスタとメイン料理は温度が重要なお皿につき取り分けた状態でサーブされます。

牡蠣とからすみ、日本人ならば大好きな組み合わせでしょう。加熱されているので多少身が縮んでいるものの存在感のある牡蠣がゴロゴロ入っており嬉しいサプライズ。


こちらにはサルディーニャ島の白ワインを。フロール(=産膜酵母)というフランス ジュラのヴァンジョーヌというワインに用いられる手法を取り入れた珍しいタイプ。アーモンドやナツメヤシのようなアロマ、酸と苦味のバランスが絶妙。私は単体でも十分に好みの味わいですが、あまり飲み慣れていない方にはやや個性的にうつるかもしれないタイプのワイン。定番のペアリングかもしれませんが、カラスミとの相性はこの上なく抜群。



もう一方はイタリア最北であるトレンティーノ・アルト・アディジェで造られるリースリング。白桃やアプリコットのようなアロマに加え、ややオイリーなテクスチャーがあり、オイルパスタとも非常に合う。意外性がありどちらも甲乙つけ難いペアリング。



パスタ二皿目は黒毛和牛のマルサラ煮込み パッパルデッレ。ポーションを増やせばメインとして成立してしまいそうな風格漂う一皿ですねぇ。



ワインはトスカーナのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。ただのサンジョヴェーゼではなく変異種にあたるサンジョヴェーゼ・グロッソが用いられます。ダークチェリーやプラム、バラや黒胡椒、バニラと複雑なアロマ。力強さはあるもののビロードのようなタンニンが調和し非常にエレガンス。和牛という肉のカテゴリーの中では比較的に繊細な食材に合わせたペアリングであり好き。



こちらは南イタリア、カンパーニャ州を代表するタウラージ。長期熟成によってそのポテンシャルを発揮するワインの一つであり、熟したラズベリーやブラックベリー、リコリス、黒胡椒などが印象的。これぞイタリア料理といったマリアージュ。



メインは蝦夷鹿のロースト いろいろな茸のクレーマ。完璧な火入れです。イタリア料理ってムラがあるのもそれまた醍醐味みたいな、悪くいうと大雑把なイメージが勝手にあったのですが、当店の料理は実に丁寧。いい食材をわかりやすくそれでいて洗練させた料理、そんな印象を受けました。

ただ、茸を用いたクリームのソースが想像よりパワフルだったので私にはややトゥーマッチに感じました。


ワインは先ほど同様、タウラージのヴィンテージ違いを飲み比べ。いわゆる垂直飲み。

ヴィンテージチャートによると、2010年のタウラージは評価が高いそうですが、もうそんなのどうでも良いくらいの満足感。あぁ幸せや。



デザートまで食べます。私はマスカルポーネと蜂蜜。連れはセミフレッド。


私史上1番のマスカルポーネでした。これだけのために訪問したいとすら思える味わい。


ワインはシチリアの酒精強化ワイン。ドライイチジクやハチミツを思わせるアロマ。最後まで幸せな組み合わせ。





以上、デザートを含む計6皿に1人あたりボトル一本相当のワインを頂き、お会計は1人税サ込2.2万円ちょい。最高に満足したディナーでした。

テーブルクロスはなくリラックスできる雰囲気なもの料理もワインのクオリティも頭ひとつふたつ抜きでたレストラン。カジュアルの最高峰。反対にキラキラしたカワイイ料理が好きみたいなタイプの女子には当店の素晴らしさは理解できないでしょう。

 

当店のソムリエは実に論理的、それでいてイタリア料理を愛しているのがビンビンと伝わってくるナイスガイ。頭はクールに心はホットな漢は私の憧れだ。電話予約の際からいいお店だと期待していましたが、想定を超える満足感。

 

そういえばアラカルトメニューは、前菜は2,000円台~、メインは6000円台~で2名の場合はメインを含む6皿前後が妥当なボリュームであるため、意外にもコースの方がお得かもしれませんね。どうやらおまかせコースではアラカルトメニューに記載していないお料理も出てくるそうなので、次回はコースでシェフの世界観を堪能したいと思います。いやー美味かった。料理もワインも大満足。いやーイタリア料理にハマってしまいそう。おすすめ!

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