門前仲町駅から歩いて3分少々。遠目からだと工事中とも見間違えてしまいそうなファサードが当店の目印です。
東京を代表するグランメゾンである銀座レカンにて総料理長を務めたシェフが満を持してオープンしたビストロ。
店内は、カウンター4席とテーブル席が3席ほどとちょうど良いサイズ感。
我々はカウンターにご案内いただきましたのですが隣のグループと明確な境界線はなく、席の間隔は結構タイトなので気になる人は少し気になるかもしれません。
一方で厨房目の前に位置しているため、調理の様子を目の前で楽しむことができ、このクラスの料理人の手元を観れるのは大変贅沢。臨場感たっぷりのお席です。
お料理はコース(8,500)とアラカルトどちらもご用意があります。メニュー構成はレストランを彷彿とさせ、アラカルトの魅力に駆られましたが、お店の方とご相談してコースをチョイス。どうしてもフォアグラのテリーヌを我が儘に食べたい気分だったのでアラカルトで追加し、組み込んでいただくことにしました。
ドリンクは、何度ワインリストを見返しても圧倒的にボトルがお値打ちだったので、クレマンを一本注文しました。
前菜は、ウニ、ズワイガニ、カリフラワーとトマトのジュレを合わせたもの。
これはめちゃんこ美味しいですね。鉄板の組み合わせでありながら、トマトのビビットな酸味が心地よい。この時点で当店のレベルの高さを確信します。
お次は、追加で注文したフォアグラのテリーヌ。
確か伺った時は鳥インフルエンザか何かで、フォアグラの入荷が大変厳しい状況だったなか、これだけの量を確保できるのはシェフの人脈がすごいのでしょう。
少し前の世代のiphoneに迫るサイズ感でありながら、極めて洗練されていて、旨味が濃い。イチジクもキャラメリゼ?とピュレの2種類の仕立てで添えられており、付け合わせも抜かりなし。
こちらには、ソーテルヌの甘口なワインをグラスで合わせてもらいましたが、脳に電撃が走るほどのマリアージュ。何度いただいてもフォアグラとソーテルヌの組み合わせはたまりません。
コース2品目はフォアグラを淡路のハモでロール状に包み、それをムニエルに仕立てたもの。仕上げには冷凍したフォアグラをトリュフのようにスライスしてかけてくれます。
ハモってどちらかと淡白な食材のイメージだったのですが、ムッチリとした身質に、フォアグラの上品な旨味やコクがベストマッチ。
今日はフォアグラ祭りだ。。。
お魚は甘鯛。目の前で鱗焼きにしているのを見て、テンションが上がります。
皮目のバリっと感とは対照的に、身は完全に火が入り切る一歩手前で止めてあり、食感のコントラストが素晴らしい。これが門前仲町のビストロでいただけるなんて、素晴らしい街トーキョー。
メインのお肉料理は一部を除き、選択制。グループで統一する必要はなく、それぞれ好きなものを選ばしていただけます。彼女は和牛ほほの赤ワイン煮込み、私は仔羊のローストをチョイス。
非常に美味しく、ポーションも食べ応えバッチリ。文句なし。
一口、赤ワイン煮込みを頂いたのですが、こちらもとんでもなく美味しいです。ソースのクオリティがちょっとそこらのビストロとは別次元。
フランス料理は準備が9割なんて言ったりもしますがお皿の隅々に丁寧なお仕事ぶりを感じます。
急いで、グラスでボルドーの赤を注文。熟成によってタンニンが丸くなり、スムースな舌触りに複雑味がましています。羊にボルドーの赤ワインって王道中の王道の組み合わせですが、このクオリティをこの気軽さで味わえるのはなんとも幸せ。
コースにはデザートがついて参りますが、気分が良くなった私は、チーズも頂いてしまいました。
モンドールがとんでもなく美味しい。秋の味覚。
デザートも数種類ご用意がありますが、迷わず大好物のモンブランを。
合わせてコーヒーを一緒に頂いて〆。
コース料理に、アラカルトでフォアグラとチーズを追加し、二人で泡のボトルを1本、グラスで3杯ほどいただき、お会計は一人当たり1.5万円強。非常にカリテプリに優れたお店ですね。
ビストロという気軽さは保ちつつも、料理のクオリティはレストランを越え、グランメゾンを彷彿とさせるものでした。フランス料理をもっと気軽にというシェフの思いが体現されたお店でした。これほどのハイレベルの料理を気軽にいただけるお店は、食べ手としても大変ありがたい。
それだけでなくスタッフのチームワークが素晴らしい。しっかり若いスタッフにも役割を与えつつも、シェフはチェックを怠らないという流石の徹底ぶり。統率がとれていました。
加えて、マダムの接客が特に印象的。技術や経験という次元ではなく人を心地よくさせるようなスペシャルな雰囲気をお持ちの方でした。
今や、予約が4ヶ月先という超人気店になってしまったようですが、当店には是非とも伺いたい。次はアラカルトで好きなものを片っ端から、よく飲むメンバーでボトルで攻めまくりたい。
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