遠藤利三郎商店/押上

押上駅から歩いて5分ほど、閑静な住宅街に位置します。

オーナーである遠藤誠氏は押上のご出身。元々は味噌問屋の3代目であったが、家業を畳むことになり以前倉庫として利用していた味噌蔵を改装してワインバーとしてオープンさせたのが当店だそう。ちなみに、ワイン講師としての経験も長いお方です。

当店は、ワイン文化があまり根付いていない押上エリアには大変貴重な存在でしょう。近くに角打ちスタイルのお店や神田にも系列の店舗を構えているそう。ちなみに、神泉にある神泉利三郎商店は経営の母体が異なるらしいです。



店内に入ると、壁一面にずらりとワインが陳列されているだけでなく、樽を改造してつくったようなテーブル席もあり、まるでワインセラーにいるような感覚にもなります。ちなみに、セラーに並んでいるワインは+1,080円の抜栓料でボトルのみすることもできるそう。



ワインリストはかなり種類豊富です。安いものだと3,000円からあり、泡、白、ロゼ、赤という分類に加え味わいのタイプごとにページが分かれており、初心者でも選びやすい工夫がされています。

ボトルだけでなく、グラスは常時20種類近く用意されており1,000円を切るカジュアルなものからコラヴァンというワインを酸化させづらくする特殊な器具を用いることによって普段なかなかグラスで飲めないような一級品も飲めたりとかなり懐が深いです。



お料理もワインに合わせて、ビストロでよく目にするような定番の料理を中心としながら食事をするのに十分なラインナップです。


まずは、グラスでスパークリングワインを。オーストラリア ヴィクトリア州でつくられているものです。

白桃や熟したストロベリーのような風味にほのかに柑橘類を感じつつクリーミーな口当たり。シャンパーニュはもちろん素晴らしい液体だと思いますが、世界各地でこれだけのスパークリングワインが生産されるようになったなんていい時代ですね。


席料550円と引き替えにアミューズが供されます。本日はグジェールとカニとカリフラワーのムース。

泡にぴったしのスターターですね。ボンっと一切れのバケットだけ置かれてテーブルチャージを請求するお店が多い中、こうしたものを提供するのはプロとしての意識の高さを感じます。



前菜盛り合わせを。ハムやレバームースを中心としてこの日は7種類ほど。なんとこれが1,320円です。しかも2人前。企業努力すぎやしませんか。何度当店を訪れても必ず注文してしまう一皿です。ちなみにレバームースに関しては好みすぎて別途お代わりしてしまいました。





ワインはボトルで注文。南アフリカのシャルドネ。レモンやグレープフルーツの柑橘系の果実に始まり、マンゴーなどのトロピカルなフルーツもわずかに。白い花や後半にはバニラの香りも。

大変コストパーフォマンスに優れた1本だと感じました。

新しいことを知ろうとせずに、「とりあえずシャブリ!」とか「ナパワイン!」みたいな注文を繰り返しているおじさんたちにオススメしたいと思いました。アップデート大事。





マダイのカルパッチョ。酸の効いたレモン風味のソースに茗荷がいいアクセントです。




メインには蝦夷鹿のロースト。シンタマ(芯玉)という内モモの下部にあたる赤身肉を用いたものです。かなり優しい火入れでレアに近い。私は生肉大好き派なので、許容範囲ないですが、連れはやや軽快気味でしたので人を選ぶかもしれません。根セロリのピュレが冬の訪れを感じさせます。



あっという間にボトルワインが空になってしまったので、グラスで赤ワインを追加。


私は、フランス サヴォワのピノノワール。サヴォワの主張が強いワインでした。

連れはボルドー オー・メドックのチョイ熟成ものを。カシスやプラムなどの果実に始まり、燻したようなスモーキーさに加え甘いスパイスなど複雑性の高さを感じました。

以上、この後に予定を控えたため軽いお食事となっていまいましたが、2人で1本半ちょいの飲酒量でお会計は1人あたり7,000円強。超いいお店ー。

あと2品くらい注文し普通に食事して1人1本飲んだとしても1万円を切るでしょうね。


良心的な価格ながらもレベルの高い味わいのものを揃えておりワイン選びのセンスの良さが光ります。

産地よりも味わいの方が大切と考えているリベラル派のワイン好きにはめちゃくちゃハマると思います。結構席数もあるのでワインが好きな人の大人数の集まりなんかにも重宝しそう。

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