オトワレストラン(Otowa restaurant)/宇都宮

フレンチ

「厨房のダビンチ」の異名を持つシェフ アラン・シャペルに師事し、フランス料理を極めた音羽和紀氏が帰国後、故郷である宇都宮にて開業した「オトワレストラン」。世界的権威である「ルレ・エ・シャトー」の一員でもあります。

我々は、1ヶ月半前位に予約サイトOmakase経由で予約を入れ訪問です。

近代的な美術館を思わせる圧巻のエクステリア。エントランスにて名前を告げ、これからの長丁場に向け化粧室を利用しウェィティングエリアで一息つきます。

「お心の準備は整いましたか」と笑顔のレセプショニストのお声がけにてメインダイニングへと向かうのですが、ダイニングまでのアプローチはやや長く、「ル・マンジュトゥー」や「ナベノイズム」を思わせるガラス張りの厨房をチラ見できる設計はテンションぶち上がり。バリバリのグランメゾンです。

現在、厨房で指揮をとるのは長男の音羽元氏。次男の音羽創氏は渡仏帰国後、「ル・マンジュ・トゥー」で修行。そして白金の「シエルエソル」の厨房を預かりミシュラン1ツ星を獲得するまでのシェフでありながら、当店ではサービスを担当します。「料理のことを理解してるからこそ、厨房とお客様を繋ぐ橋渡しとして自分が最前線に立った方が良い」と仰っていましたが、なんというか究極系。贅沢な起用。

メニューはもちろん最高位の「ルレ・エ・シャトー」でお願いしました。

まずはグラスシャンパーニュ。CH,PN,PMを用いた1本とのこと。

バラを埋め込んだエルダーフラワーのジュのゼリーやサバのリエットをはじめとした、手の込んだアミューズです。

アミューズとシャンパーニュをいただきながらリストに目を通していたのですが、ボトルワインは都内のグランメゾンよりも2〜3割安い値付け。せっかくなのでボトルワインを1本注文し、それをゆっくりいただきながらも、食事に合わせてグラスでいくつかペアリングしていただくことにしました。

ペアリングは量や杯数によって多少前後するでしょうが、我々は日本酒などを含んだ5杯で確か7〜8,000円でした。ボトルで赤ワインを注文していたため、そこにペアリングのワインは提供されなかったのですが、メインに合わせて何かしらのワインが来たとしても、全体で1万円前後と見ておけば安心。

結論として非常に充実した内容であるので、色々飲んで楽しみたい人はペアリングの注文がいいでしょう。

枝豆のブルーテ。青々しい枝豆のソースの下にサワークリームのようなものが隠れており二層構造。見た目も味わいも大変爽やかで夏の暑さを吹き飛ばしてくれます。

 

 

お次は初夏野菜のサラダ。それぞれさまざまな調理法で仕上げられたズッキーニやパプリカなどの野菜やマグロをコンソメジュレで取りまとめた一皿。頂点に添えられたトマトのソルベがいいアクセント。一般的なレストランの魚料理として出されても文句のないクオリティならびにポーションです。

合わせる白ワインはロワールのSB。石灰豊富なキンメリジャンと呼ばれる土壌を持つ単一畑からつくられたもので、柑橘系の果実味に、スモーキーなニュアンス。がっちりパワフルな味わいであり、マグロの濃い旨味にも負けないテンションの高さを感じます。

オマール海老は柔らかな火入れであり、甘味が増して美味。ミカンだったかなを用いたソースも爽やかでいいアクセントです。

合わせるワインはフランス ローヌのヴィオニエ。私が大好きなワインでありアロマティックな香りがいい。何時間でも嗅いでられる。

蝦夷鮑のパイ包み焼き。火入れの素晴らしさはもちろんのこと、蝦夷鮑を取り囲うムース、王道のブールブランと鮑の肝で作ったという2種のソースの完成度がめちゃ高い。

死ぬ直前に食べたい料理は何かと問われれば、パイ包み焼きと答えるくらいには大好きな料理ですが、私史上トップ3にランクインする美味しさです。

こちらにはブルゴーニュの白。ラドワ村に代々居を構える生産者だそうで、ふくよかな果実味にミネラル、奥行きを感じる味わいであり、先のお料理との相性は王道中の王道。

また食中ソムリエと少しお話しする時間があり、紹介していただいたワインをグラスで追加注文したのがこちらのムルソー。先の白ワインよりもリッチな味わいでブールブランソースとピッタシ。甲乙つけ難い贅沢な飲み比べ。

甘鯛はコールラビというキャベツやブロッコリーに近い甘味のある野菜とともにいただきます。ソースはトマトと貝のエッセンス、コンソメ仕立てにしたものだそう。

こちらには栃木を代表する日本酒「仙禽 かぶとむし」。ライムを思わせるような爽やかな柑橘類と酸。やや低アルコールでお料理との寄り添いもよく、こうやって地元の酒を積極的に用いる試みはいいですね。

メインは和牛のフィレ。おぉこれまたソースが白眉。チミチュリという南米では定番のパセリなどのハーブやビネガー、玉ねぎ、ニンニクを用いたもの。爽やかさや辛味を感じるソースを和牛と合わせるアイデアが素晴らしい。

この日は羽目を外してもう一本。先のボルドーに続きシャンボール ミュジニー。

追加でフロマージュ。ロックフォールとあと2種忘れちゃいました。

写真は失念したのですがデセールを頂きながら、カナダで作られる甘口ワインと貴醸酒を立て続けに。

 

コース料理にグラスシャンパーニュ、ペアリング、デザートワインのみならず、2人でボトル2本飲むという暴挙に出たためこの日は1人あたり7万円をゆうに超える食事となりましたが、都内のレストランで同様の飲食をすれば倍近く請求されてもおかしくない。通常の飲食であればひとり3万円強に落ち着くかと思います。

素晴らしいレストラン。グランメゾン特有のバリっとした緊張感は保ちつつもサーヴィスの距離は付かず離れずで心地が良い。料理はもちろんのことちゃんとペアリングもフランスワインで勝負してくるところに強い覚悟を感じました。

100年いや200年と続いてほしいレストラン。宇都宮に行く用事があれば前後に無理矢理でもお邪魔したい。いや、用事などなくとも当店のために電車を乗り継いで訪れたいそれほど魅力的なお店です。ちょーおすすめ!!!

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