ドミニク・ブシェ トーキョー/銀座

銀座一丁目駅から歩いてすぐ銀座レンガ通り沿いのビルに2階に店を構える「ドミニク・ブシェ トーキョー。エレベーターにて向かうとすぐにレセプションがあり、ウェィティングスペースやカーヴのようなワインセラーを近くを通り抜けダイニングへと向かいます。


白とグレーを基調とした清潔感あふれる店内ですが、想像していたよりもコンパクトな間取りです。グランメゾンと聞くともっと広々としているのかと勝手に想像しておりました。

ルームチャージはかかるものの半個室や完全個室のご用意もあるらしく、大切なゲストの食事に際しては重宝するでしょう。


確か私が訪れた時は、ウェティングエリアのカーヴにてアペリティフができるプランが組数限定であった気がするのですが、今はやっていないんでしょうか。あれすごく魅力的だったのになー。

ちなみに、ランチ、ディナーに関わらず、スマートカジュアルのドレスコードを設けており、クールビズ期間を除き、男性はジャケットの着用が必須であります。



ドミニク・ブシェ氏はパリにてジョエル・ロブション氏の右腕として活躍し、29歳の若さで当時ミシュラン三つ星の「トゥール・ダルジャン」の総料理長に就任した後もさまざまなレストランに携わり、2004年にパリ8区に小さくて美しいレストラン「ドミニク・ブシェ」をオープン。そして2013年に銀座いに「レストラン ドミニク・ブシェ」をオープンし、2015年に現在の場所へと移転し「ドミニク・ブシェ トーキョー」と改名されました。

当店のエグゼクティブシェフを務める伊藤翔氏は高校卒業後、横浜「霧笛楼」にて料理人としてのキャリアをスタートさせ、2015年に単身パリの「ドミニク・ブシェ」で1年間勤務したのち、姉妹店である銀座「レ・コパン ドゥ ドミニク・ブシェ」のオープニングスタッフとして加入後翌年、同レストランのシェフを務め、2022年より当店の厨房を預かります。



ランチはデザートを含む7皿構成で、スペシャリテを含むか否かによって金額が変わります。我々は迷うことなく、MENU HERITAGE(15,000)でお願いしました。



ワインはさすが銀座のグランメゾンといわんばかりの値付けで、ボリュームゾーンは1杯3,000円近く。ラインナップを考えればまぁ仕方ないですが。

気兼ねなく頂きたかったので、グラスシャンパーニュを含めた5杯セットのペアリングコース(12,000)をお願いしました。結論から申し上げるとこのペアリングは大変お得なので、お酒が飲める方はぜひペアリングで挑みましょう。



シャンパーニュはドミニク氏の友人が手がけるプライベートシャンパーニュ。

ドサージュゼロ表記ではあるものの、鋭角的な要素は全くなく、柑橘類や白い花をはじめとしたフレッシュなアロマが心地よい味わい。PBってあまりいいイメージなかったけどこちらは非常に質が高い。



プティ・サレ。パテアンクルート、海老とマンゴーのタルタル、パルメザンチーズのサブレ。見た目から複雑な味覚なのかと構えてしまいますが、思いのほかシンプルな味わいで、食前にちょうどいい塩気を感じることのできるアミューズ・ブーシュでした。


アミューズはカニとアボカドのムースのシャルロット仕立て。爽やかな酸を伴うトマトとムースを互い違いに積み重ねセルクルで円状に型取ったもの。ウニやキャビアといった高級食材もいやらしさなく、全体を昇華してくれます。加えてバジルやマンゴーのソースもいいアクセント。



合わせるのは、ロワールのソーヴィニヨンブラン。サンセール地区を代表するアンリブルジョワが手がける上級キュヴェ。ピンクグレープフルーツやパッションフルーツなどの果実のアロマ、メントール、石灰などを感じる複雑な味わい。


パンは普通。全部食べたけど。


彩野菜のシンフォニー ジュ・ド・ヴォライユ。食材ごとに火入れを変えて旨味の引き出し方を変えているのはさすがですが、盛り付けなども含め正直印象に残らず。ただ、鶏(ヴォライユ)の出汁を用いたソースの出来は文句なし。



こちらには、シャトー・ド・フューザル。ソーヴィニヨンブラン並びにセミヨンからつくられるボルドーブラン。アカシアやトーストをはじめとしたリッチな味わいで熟成による深みも素晴らしい。単体で飲んでも十分に美味しいですが、野菜の甘みや柔らかな旨味を感じる料理をより引き上げてくれるようなペアリングでした。

先のワインと同じソーヴィニヨンブランという品種でもここまでスタイルが異なるんですよとソムリエールが丁寧にご説明してくださったのですが、こういうワインの面白みを伝えていただけるのは嬉しいですね。ワインを小難しくするソムリエもいる一方でこうしたホスピタリティの高さはさすが。


舌平目の鱗仕立て 花ズッキーニのファルシ ソース・ヴァン・ジョーヌ。これぞフレンチといった一皿であり食材やソースはもちろんのこと、鱗仕立て(エカイエ)やファルシなどの調理法、付け合わせの細部までにフランス料理の真髄が詰まっています。美術品としてこのまま自宅に持ち帰りたいほど。味並びに盛り付けなど含め本日1番のお皿でした。

アミオ・ギィ・エ・フィスのシャサーニュ・モンラッシェ。

王道の合わせ白桃や洋梨のような果実味にオーク樽の香りを感じる一方で、酸やミネラルは穏やか。ど真ん中ストレート、ド直球のペアリングで大変好み。当店のソムリエールとはお友達になれそうです。


仔牛のロティ 季節の野菜 ジュ・ド・ヴォー。
先ほどの料理に続いて、実に美しい見た目ですね。こうした彩りや大胆さをまとめ上げる感性は実に西洋的な気がします。仔牛の火入れも抜群で旨味を伴いつつクリア味わいの個体でした。仔牛(ヴォー)の出汁を用いたソースもグッド。秋だったからか付け合わせに茸がたくさんだったのが地味に嬉しい。



肉料理にはドルーアン・ラローズのジュブレシャンベルタン。ラズベリーやブラックチェリーのような果実のアロマにバラや甘草などのニュアンスを感じました。タンニンもなめらかで仔牛の肉質とも好相性。



デセールは洋梨のパートフィロ、ショコラのムース。

洋梨のコンポートを薄い生地で包み、チョコのムースを添えた皿の周りにチョコレートのソースをまわしかけたもの。これまた素晴らしい。馴染みのない食材の取り合わせですが、異なる甘みが重奏的で妙。



ミニャルディーズまで抜かりがない。マンゴーとパッションフルーツのゼリー、イチジクのタルト、オペラ、ラズベリクリームのプチシュー。これほど完成度の高い味わいをこのサイズに集約できてしまう当店のパティシエは天才である。

この後、当店自慢のハーブティを頂き〆。ランチのコースにワインペアリングをつけお会計は1人サーヴィス料込で3万円ほど。ランチとしての考えると絶対額は高いですが納得の支払い金額。

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