東京タワーのすぐ近く、東京タワー通りを挟んだ向かいにある芝公園ビル10階に位置するワカヌイグリル。
店内はかなり広く、テラス席などを含めると100席を超えてくるのではないかという大箱。当店の自慢でもある東京タワーを一望できる席のほか、個室もいくつかあり接待などでも活躍しそう。
私が伺った日は生憎、タワー側の座席が予約でいっぱいだったそうで、「大好きなプリンスホテルが見れるから大丈夫」と答える私に、「本当はあっちの席が良かったんだけどごめんね」と連れから何度も謝られる始末。カップルかよ。
ワインリストは、数種類のシャンパーニュを除くほぼ全てがNZ産であり、ニュージランドワインの最高峰とも呼ばれる「Providence」がほぼ小売価格でオンリストしています。
グラスのスパークリングワインは1,800円超えと高い。まぁこの立地でこの手のレストランなら仕方ない。手持ち無沙汰なのもアレなので、こちらを頂きながら今宵のメニューや流れを相談します。
話はズレますが、陽が沈む前に飲む泡ってなんでこんなに美味しいのでしょう。アゲ。
当店の目玉はなんといってもNZ産のビーフとラム肉。塊で火入れをするため、中には焼き上がりまで1時間以上要するものもあるということで、メインディッシュを決めてから逆算して前菜を組み立てることにします。
まずは、広島県産フレッシュなオイスター。パンパンに詰まった個体で濃い味わい。肉がメインにつき1人2ピースにとどめましたが本当はもっと食べたかった。
泡のグラスがあっという間に無くなりかけたので白ワインをボトルで注文。NZの北島ホークスベイのシャルドネ。グレープフルーツや熟した洋梨のような果実に、上品な酸、樽由来のふくよかな香りに、鉱物的なニュアンスも。スケールは異なるものの銘醸ピュリニーを思わせる方向性で好み。
先の生牡蠣にレモンを絞って食べれば、ベストマリアージュ。
季節野菜のグリーンサラダ。シンプルなものの、レンコンや確か日向夏がいいアクセント。メインに向けたいい準備運動。
まだ白ワインは半分近く残っていたものの、メインの塊肉に向けて早めにボトルワインを注文。
ニュージランドを代表するシンデレラワイン「Providence」によるプライベートリザーブ。メルロやカベルネフランの他マルベックが用いられ、良年のみ瓶詰めされるキュヴェ。
なんと素晴らしい液体、、いいボルドーワインに近しい味わいですが、メルロやカベルネフランの比率が高いことが影響してか開けたてから既に柔らかく、素晴らしい余韻。
キングサーモンの温燻製。一般のスモークサーモンとは異なり、温燻により水分が程よく抜けて旨味が凝縮しています。一切れ1200円と考えるとあまりにもポーションが上品すぎ。
全体の8割以上の座席が埋まっているのにも関わらず、我々の食事のペースを見計らいながらベストなタイミングで塊肉が登場。サーヴィス陣のコントロール力の高さには脱帽です。
牧草牛のフィレ250gとラムをハーフラック。お店のおすすめであるミディアムレアで焼き上げていただきました。さすがの火入れですね。赤身肉らしいアッサリとしながらも旨みを伴いそれでいて上品な歯触りのフィレとは対照的に脂の部分にミルキーな甘味すらも感じるラムラック、どちらも甲乙つけ難い美味しさです。2種類合わせて1人200g以上食べたにも関わらず、思わずフェレを250g追加注文。
調子に乗った我々は、先ほど飲んだ「Providence」のシラーを追加。品種由来でしょうか、先の1本に比べて濃縮感や力強さを感じるこれまた素晴らしい味わい。なかなかお目にかかれない生産者による同一ヴィンテージの飲み比べを偶然にもすることができ感無量。今夜だけは抱かれてもいい。
肉の焼き上がりに備えて、シャルキュトリーの盛り合わせを。パテドカンパーニュや鶏レバーのムースにローストビーフまで。これが2,300円とは大変良心的である。
食事も大盛り上がりにつき、追加分のフィレの写真は失念してしまいましたが、こちらは焼き加減をレアでお願いしました。どちらも美味しかったですが、やはりお店が推奨するミディアムレアがベストなのかもしれません。
以上、好き勝手食べ飲みさせていただきました。ご馳走様です。お祝いにてご馳走していただいので詳細な金額は分かりかねますが、おそらく通常の飲食量であれば1人2万円以内におさまることでしょう。テーブルクロスなどがないレストランに2万円?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これほど美味い肉と上質なワインを肩肘張らずに頂けるお店は都内でも貴重でしょう。同等の食事を有名なステーキハウスですれば1.5〜2倍近く請求されてもおかしくありません。
ちなみに、ランチはディナーメニューとほぼ同じものをいただけるコースが4,000円近くと破格なので気になる方はそちらから試してみるのもありかもしれません。
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