日本橋兜町に位置するグランメゾン。日本橋駅、茅場町駅からそれぞれ徒歩5分弱くらいの所に位置します。証券取引所のすぐ近く。
シェフの朝比奈悟氏は料理人としてのキャリアを横浜グランドインターコンチネンタルホテルからスタートし、ラターブルドゥジョエル・ロブションの総料理長まで務めたすごい方です。
経営母体は株式会社スーリール・ド・シュシュ。naoto KやReglisseをはじめとしためっちゃイケてるお店を展開してます。
エントラスを開けると、レセプション並びにウェイティングスペースがあり、一角にある扉がダイニングとつながっています。
ダイニングは、白とシルバーを基調とした店内は清潔感がありながらもエレガント。めちゃくちゃかっこいい空間です。
席数は30~40席といった具合で、グランメゾンとしてはちょうどいいサイズ感。
今回はランチでの訪問。ランチは土日祝のみ。コース16,500円。
ドリンクは乾杯のシャンパーニュも含めて1人10,000円くらいの予算でお願いしますとソムリエに伝えてペアリングしてもらいました。
まずはシャンパーニュ。シャルドネ種を主体としながら、8年間タンクで寝かされていたもの。風格漂う素敵な味わいです。
アミューズ・ブーシュは3種。めちゃくちゃ手の凝ったお料理ですね。特にそば粉で作ったブリニがお気に入りでした。シャンパーニュとめちゃくちゃ合う。。。
前菜はインカのめざめをカリソンに仕立てたものに、クリスタルキャビア(アムールチョウザメとダウリアチョウザメの交配種のもの?)が中央にどんと配置されています。目測ですが、10gをゆうに超えてきそうなキャビア。めちゃくちゃテンション上がる。
ちなみにカリソンとは、フランス・プロヴァンスの伝統菓子のことで、船のような形をしています。私は、カリソンを食べたことはありませんが、こちらはカリソンよりカリソンしてました。(?)
こちらには、フランスボルドーの白。ソーヴィニヨン・ブランの爽やかさに加えて、セミヨンによるトロっとした口あたり。大好きなワイン。
お次は、鮑と大黒本しめじを使った一皿。特大サイズのしめじの上にスライスにした鮑がタルティーヌのように並べられています。付け合わせには、アワビの肝を用いたタルタルと、ジャガイモのクルスティアン(サクサクした)。お皿には黒トリュフのソースが敷かれています。
ものすごい美しいドレッセですね。。。盛り付けに関して、シェフの右に出る人はいないでしょう。
合わせたワインはフランスマコンのプイィ・フュイッセ。柑橘や白桃のアロマが心地よい。非常に好みのタイプでした。
お魚料理は鯉と鰻のバロティーヌ仕立て。ソースマトロート。ちなみにマトロートとは淡水魚をワインで煮たお料理のこと。
鯉ってあまり馴染みのない食材ですが、イサキに似ている感じがしました。フワッとしていて美味しい。地方料理であるマトロートをガストロノミックな仕立てで食べるのは非常に面白い。これぞレストラン。
ワインはブルゴーニュの赤。赤いベリーのアロマにほのかにアールグレイのような香りの印象も受けました。
ウナギと赤ワインって鉄板の組み合わせですよね。今回は、調理や仕立てに合わせて、エレガントなブルゴーニュの赤を用いているのには敬服しました。
支払い金額から逆算するにこれを1杯1,500円強でセレクトしていただけるなんて破格すぎ。
メインはフランス産の地鶏のロティ。モモ肉、ムネ肉ともに絶妙な火入れです。ソースは鶏の出汁にマッシュルームやバターなどを使い作るシュプレーム。付け合わせは南瓜のニョッキとクミン?スパイスを用いたソーセージ。
前菜のキャビアといい、メインの黒トリュフといい、高級食材をバシッと使用しているのに潔さを感じます。食べてるこちらまで清々しい気持ちになります。嬉しい。
合わせるワインは、フランスジュラのシャルドネ。すこしシェリーっぽい風味があります。鶏肉のようなクリアな味覚のものにはこれくらいのワインがいいのかもしれません。
デザートの前に、追加でチーズをいただきました。一度サーヴィスの方に、閉店の時間が迫っているので断わられたのですが、入れ替わりで支配人が「お料理が少し重なってしまうかもしれませんがそれでもよろしければぜひお召し上がりくださいと。」お許しくださいました。寛大や。
もちろん、時間に従って営業していくのが、商売であると思うので彼女の対応が正しくあると思いますが、ゲストとしては、やはりこれだけの格のレストランなんだからなんとかしてくれないかなーなんて期待もしてしまうところ。
そんな中、折衷案を出してくれた支配人はさすが。責任者の鑑。
デザート1つ目はせとかと柚子のシャーベット。爽やかな酸味が口の中をすっきりさせてくれます。
続いて、フォレノワール。さくらんぼの甘酸っぱさと濃厚なショコラの組み合わせがたまりません。デザートの専門店で食べたらこれだけで1,500円以上取れそう。
パリブレスト、マカロン、カヌレ、ショコラの小菓子たちも圧巻のクオリティ。お土産に持って帰りたい。。。
16,500円のランチコースにシャンパーニュを含めてグラスワインを5杯(量で換算すると4杯くらいになるかな?)をペアリングしていただき、税サ込で一人27,000円。これはめちゃくちゃ素晴らしいですね。
ランチで伺ったのも少し影響しているかもしれませんが、30,000円を下回る食体験としてはトップクラスに満足する食後感。
王道のフランス料理でありながらも、朝比奈シェフの解釈をもとに別次元の料理に見事に昇華している。
何人がこの一皿に携わっているのだろうと考えさせられるくらいに細部まで綺麗な盛り付けには、圧倒されます。美しすぎる。それをアミューズからデザートまで徹底しているなんてすごい統率力だなぁ。
要所要所にお菓子作りで用いられるような手法が織り混ざっており、シェフはお菓子作るのもお好きなのかななんて考えも巡りました。
ソムリエのワイン選びも圧巻。お願いした予算よりも安く、会計の時にびっくりしました。シャンパーニュをはじめフランス産のワインは高騰しまくっている中、フランス料理店として、全てフランスワインで勝負してくださり、大変感動しました。
ハレの日や記念日、ここぞというときのお店としてはもちろんですが、個人的には、フランス料理にある程度理解がある人同士で訪れた方が、より当店の凄さを体感できるでしょう。
おすすめです。
ASAHINA Gastronome (フレンチ / 茅場町駅、日本橋駅、人形町駅)
昼総合点★★★★☆ 4.2
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