コム・ア・ラ・メゾン(COMME A LA MAISON)/赤坂

ビストロ

赤坂にあるビストロ。 大通り沿いから細い路地へと曲がった先にあります。

当店は、フランス南西部、鴨や鳩やフォアグラ、アルマニャックなどの名産地として有名なランド(Landes)地方の郷土料理に特化したお店です。

涌井勇二シェフは、高校卒業後すぐに料理の道へと進み、パリやボルドーのレストランやビストロにてご研鑽し、帰国。六本木のお店でシェフを3年間務めたのち、準備期間を経て2001年よりオープン。


店名のコム・ア・ラ・メゾンは、フランス語で家のようにという意味を指し、店内はテーブル席が3つほどに僅かにあるカウンター席が主体。さほど広いわけではないでしょうが、窮屈さは全く感じなく、寧ろ居心地のいいアットホームな落ち着きのある空間です。

メニューは10種類強とやや少なめですが、ランド地方のエスプリをビシビシと感じることのできるラインナップ。調理のほぼ全てを涌井シェフが行うので、基本的に料理は一度にまとめて注文するようにしましょう。

今回は男性3名での訪問であり、スタッフの方と相談しながら、スペシャリテであるスープドガルビュールを軸にしながら、計5皿ほどチョイス。

飲み物は、グラスのワインが1,000~ほどと良心的な価格ですが、種類は限定されているので、できればボトル注文がいいでしょう。フランス南西の素敵なワインが多数ラインナップしており、最多価格帯は6,000~7,000円と立地を踏まえると非常にお安く感じました。


我々は、ボトルで泡。クレマンドリムー。モーザックが90%に残りの10%がシュナン・ブランとシャルドネというのがトラディショナルと呼ばれるタイプのセパージュ(品種割合)だそうで、非常に面白い。熟したリンゴやレモンなどの爽やかな酸を感じるワイン。

シャンパーニュもいいですが、こういった泡も色々なお料理と寄り添うので好きです。


まずは、パテ・ド・カンパーニュ。丁寧な仕立てであり、色々なお肉の複雑な旨みをダイレクトに感じる正統派。味わいは大変好みなのですが、2,000円という価格を考えるともう少し量が欲しかったところ。


お次はロカマドゥールという山羊乳で作られたチーズを用いたサラダ。

シェーブル特有のややクセありチーズですが、ミルクのコクをしっかりと感じることができワインが進みます。シェリーヴィネガーとヘーゼルナッツオイルのドレッシングもシンプルながらいい働きをしています。



タラだったけかな?白身魚の赤ピーマン詰め トマトソース。

バスクあたりでは定番の組み合わせですね。個人的にはピーマンに肉を詰めるよりも魚の方が相性がいいんじゃないかと思っている派です。



スタッフの方とご相談しながら、ここでもう一本。ボトルワインを追加。この地方ではマディランというワインが有名ですが、その最高峰生産者とも呼ばれるアラン・ブリュモンのもの。

こちらは渋味である”タンニン”の語源であるとされるタナ(Tannat)とメルロからなるワイン。

黒系果実に加え、熟成により丸くなったタンニンと複雑なアロマを感じることのできるワインでした。ボルドーばかりフィーチャーされるけど、シュッド・ウェストと呼ばれる南西エリアのワインってコスパに優れていると思います。



続けて、シャラン産鴨の心臓の串焼き ニンニク風味。写真は1.5倍量。

いわゆるハツなのですが、普段食す鶏肉のハツとは似て非なる味わいです。臭みなどは全くなく、力強い旨みが口の中に広がります。ニンニクの風味やスパイスの香りも合わさってお酒が非常に進みます。この串1本だけで、3人でボトルワインが1本空いてしまいそうでした。



おまちかね。スペシャリテのスープ・ド・ガルビュール。

スペイン語で煮込みを意味するガルビアス(Garbias)から来ているスープ。香味野菜に加え、ジャガイモ、白インゲン豆、豚肉や生ハムなどたくさんの素材が入っています。

これは思わず息が漏れるほど、美味しいですねぇ。スープでここまで感動したのは初めてかもしれません。野菜の素材本来の甘みが十二分に引き出されて、そこに動物由来の脂の旨みがグッと織り重なります。

注文時お店の方から、こちらは一人一皿でと言われたのですが、いざ対面するとその意味がわかります。皿の底まで舐め回したかった。

インスタ映えとは対極にある見た目をしていますが、一口啜るとそのパワーに圧倒されます。



食事の終わりのタイミングに合わせてカヌレをお出しいただきましたが、これまたかなり旨い。カヌレ専門的に匹敵する味わい。調理をここまでほぼ全て一人で行っているにもかかわらず、全ゲストのペースを把握しながらピッタリのタイミングに焼き上げてくれるという涌井シェフのホスピタリティに大変感動しました。

思いがけず、ゆったり2時間半以上も楽しませていただきました。

以上のお料理にボトルワイン2本、途中追加でグラスワインを1杯だけいただき、お会計は一人1.2万円ほど。

大変満足した食事でした。派手さはないものの実直な料理ばかりで食べていて気持ちがいい。ゆったりとした空間でお料理からパワーをいただき、明日への活力を得られるお店です。

次回は、他のメニューもぜひ頂きに参りたいと思います。

見た目に派手さは全くありませんが、美味しい料理を食べたい日には外しません。本物嗜好で食事を愛する人たちはぜひどうぞ。おすすめです。


 

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