青山学院西門のすぐ近くに店を構える「ラ・ブランシュ」。渋谷からも表参道からもほぼ同距離にあるので集まりやすい駅から向かいましょう。
田代和久オーナーシェフはフランス料理界の重鎮であり、29歳の頃渡仏し、帰国後1983年に銀座のフレンチにて3年間シェフを務め、86年に当レストランをオープンされました。
ランチは6,000円と10,000円のコース2種類であり、当店のスペシャリテでもある「イワシとじゃがいものテリーヌ」も含まれた前者のコースを注文しました。
店内は、テーブル席が6つほどあり、20席弱だった気がします。座席のレイアウトがいいのか、結構ゆったりとした感じ。ゲストはお近くのお住まいであろう2人組のマダムやワイン好きの集まり、若いカップルなど多種多様。
お昼につき泡のボトル1本で通すことに。グラスシャンパーニュは2,000円〜、グラスワインは1,900円〜とボトルワインの価格に比してやや高な印象。いやボトルワインが安すぎるんだ。
おそらく支配人であろう方に予算と方向性をお伝えして、1本をお選びいただきました。詳細を書くのは少し野暮かも知れませんが、「1本予算1.3万円ほどでできれば黒ブドウ主体の〜」とかなり無理難題を押しつけたのにも関わらず、「なんか力になりたいなー、ちょっと待ってね」とストックから渾身の一本をお持ちいただきました。価格とは需要と供給によって成り立っているので、それが全てではありませんが当時の市場価格で1.3万円もするボトル。
私が若かったからか、それとも好青年だったのか、なんというお心遣いなのでしょう。それにしても採算度外視。どう感謝を伝えればいいのかわかりませんが微力ながら貴店の素晴らしさを記すことでお許しを。
ヴァレ ド ラ マルヌにてビオディナミを実践する生産者のもの。ピノ・ムニエ100%。柔らかな果実や酸、ミネラルを感じそれでいてふくよかな一本。
アミューズにはリエット。人生で1番滑らかなリエットだったかもしれません。アミューズから丁寧な仕事ぶりが伺える。
新玉ねぎのシャーベット、皮ごと食べれるオレンジ?、紅くるり大根のマリネ、リンゴときゅうりのジュレの4種が供されました。見映えはしないものの色々な味覚が楽しめるのは嬉しいところ。
前菜は鰯とジャガイモのテリーヌ。当店の代表的なスペシャリテでしょう。
燻された鰯の旨みに甘みすら感じるなめらかなじゃがいも、それを取りまとめる塩気の効いたベーコン。素晴らしい一皿です。使われている食材や調理法はなんてことないのに、料理としてここまでの高い完成度。
スズキのポワレ。付け合わせは春菊とアスパラソヴァージュのフリット。
メリハリのある火入れで、皮目と身の食感のコントラストが素晴らしい。鱸って夏が旬なんでしたっけ?身質もかなり良く脂も思いのほか蓄えており美味。
磯の旨味たっぷりのソースと春菊の苦味が合わさって好みの一皿でした。
メインにはパイ包み。中には鴨のコンフィをミンチにしたものが詰まっています。ソースはクラシカルな赤ワインソース。付け合わせのお野菜もシンプルな調理ながら、それぞれの良さを全面に感じる仕様です。シェフの野菜へのこだわりと愛をお持ちなのでしょう。
赤ちゃんの握りこぶしほどのサイズ感ですが見た目以上に食べ応えもしっかり。ランチのメインと考えれば十分なポーションでしょう。
グラスワインを追加。フランスローヌ地方のグルナッシュ主体。柔らかな果実味と程よいタンニン、黒胡椒のようなスパイシさー。安定。
デザートにはプリンを。苦甘なオトナな味わいで、クラシカルな料理をいただいた後にいただくデザートとしてはピッタリですね。
小菓子とエスプレッソで〆。
以上、ランチコースに2人で泡のボトルを1本、グラスワインを1杯ずついただきお会計は税サ込1人1.6万円強。申し上げるとしたら、黒のスレート皿が何度も登場するのですが、あれって最適解?でしょうか。機能的にも見た目的にもベターな選択肢多くあると思っちゃう。てか、客単価1万円5千円の食事に見合う格のお皿ではない。あとサービステーブル?補助テーブルのようなところに書籍が陳列していて、レストランではあまり見かけない光景だなーとも思いました。料理もワインもサービスにも納得しているからいいのだけれど。
クラシカルなフレンチと聞いて、もっと重厚な料理が連続するのかなと勝手に想像していましたが、野菜など多く登場したりと想定以上に軽やかで、むしろその逆。フランス料理の技法を用いた日本人シェフの作るフランス料理といった印象。クラシカル=重厚なお店だと期待しているとやや拍子抜けするかもしれません。
いい意味で品のいいギャラリーにでも招待されたかのような、洗練されつつも重すぎない雰囲気であるので、女子会や若いカップルの食事にも向いているでしょう。
今回はランチでの利用でしたが、次回はディナーに田代シェフのフルパワーのお料理をいただきにまいりたいと思います。デザートのタイミングで何故か?握手してもらったけどムキムキマッチョだった。かっこえぇ。
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