醸造科 oryzae(オリゼー)/錦糸町

日本酒

錦糸公園の向かいにお店を構える日本酒のお店「醸造家oryzae」。学名で「アスペルギルス オリゼー(Asupergillus oryzae)」はカビの1種である「麹菌」を意味します。当店がメインに取り扱う日本酒はもちろんのことしょうゆ、みりん、味噌などの調味料もこのオリゼーを用いて作られており、それを店名に掲げるなんてなんだか入店前からワクワクします。

 

 

店内はカウンターのほか小上がりのようなテーブル席が少し。15席にも満たないのでは?といったコンパクトな作りで、街の居酒屋に訪れたかのような安心感があります。

 

 

お料理はどれも日本酒との親和性が高そうなメニューが多数ラインナップ。軽めのおまかせコースなんかもあり、初見であればコースでお願いしてしまうのが良さそうと判断し私はしっかり目のほうのコースを注文しました。

日本酒は1合換算1,000円弱〜と良心的な値付けで心なしか燗酒向きのラインナップが豊富な印象を受けました。そのほか、ワインの取り扱いもありなかなか興味深い品揃え。

まずは、グラスで泡を。フランス ロワール地方のブーブレ。瓶内2次タイプらしく泡のキメも細かく、熟したリンゴのようなアロマが心地よい。

突き出しは確かお野菜と豆を一緒に炊いたもの。胃が温まる。

前菜の盛り合わせはサワラの塩タタキ、苺と水牛のカプレーゼ、鱈白子のあおさポン酢の3点盛り。どれも酒のツマミにぴったりで急遽ビールを追加注文。

ここからは料理に合わせて適当に出していただくことに。

神奈川県のいずみ橋。冷酒で飲んだのですがどこかマスカット系の香りを感じつつも後味にキレがあるタイプでお料理を邪魔しない。

牡蠣と白菜の炊いたん。軽くとはいえ火入れしたとは思えないほど大ぶりな牡蠣の個体に思わずニンマリ。

ここからは燗酒。福岡県旭菊酒造の綾花。旨味と酸味のバランスの良さに加えて、酵母由来か華やかな香りを感じました。

続いては本ますの山椒醤油焼きにしたものとワカサギと蕗のとうのフリットです。苦味をテーマにしている一皿なのでしょうか。蕗のとうやわかさぎの素材が持つ心地よいほろ苦さ、マスを醤油焼きにしたことによる香ばしく旨味を伴った苦味を同時に楽しむことができました。

当店の人気料理らしいつくね串。上にはたっぷりのもろみ味噌ダレ。これは問答無用に美味いですねぇ。あと2本はイケる。

鳥取県山根酒造が手がける日置桜 生酛強力。複雑さや味わいに立体感がありさらには熟成によるコクみたいなのも感じられ、さきの味噌ダレをまとったつくね串との相性も素晴らしい。

こちらは干し柿バターと、、それ以外は失念。

チーズの盛り合わせ。当店はそこらのビストロより豊富な種類のチーズを取り扱っておりどれをチョイスするかが悩ましくなるほど魅力的。

余談ですが「チーズにはワイン」というイメージが一般的に浸透しているかと思いますが、個人的には、もちろん「コンテチーズとジュラ地方の白ワイン」といったピンポイントの組み合わせ同士の相性の良さはやはりワインには勝てませんが、白カビ、ブルーチーズ、ウォッシュなどといった味わいや風味の異なるもの全般との相性を考えると日本酒はどのチーズに対してもそれなりに合い、万能性が高いと思っています。

ということで合わせてもらったのは埼玉の神亀の燗酒。チーズ単体でももちろん美味しいのですが、一緒に食べ進めると口中でセルフチーズフォンデュをしているような味覚で楽しい。

コース一通りに酒を結構のんでお会計はひとり8,000円ほど。華やかフルーティー系の日本酒がトレンドとなっている中、昔ながらの素朴なテイストを心置きなく楽しめる貴重なお店。調理のほとんどを店主1人で行っているのでやや皿出しのテンポはゆっくりではありますがそれすらも肴になる居心地の良さ。おひとり様の女性のゲストのちらほら居たのに納得です。このエリアで日本酒とくに「燗酒」を飲みたいなんて気分の時には真っ先に思い浮かぶお店。

店内も少し落ち着いた頃、店主とお酒(ワイン)の話で盛り上がりワインに突入。大切なストックあろううちの1本であるドメーヌアツシスズキの白で2016年とバックヴィンテージ。

ドライアプリコットやレーズン、アップルパイのようなアロマにカモミールのような香りも。大変魅力的な液体。ご馳走様でした。

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